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「翔ちゃんが眠ってた間の八年間って、どんな感じだったの？」
「え？」
流石に騒がしすぎたのか、やってきた看護師に静かにするよう怒られて
暫くは静かに言葉を交わしていた
仕事があるからとお父さんとお母さんは名残惜しそうに病室を後にして
再び雅紀と潤の三人の空間になった時だった
何と言えばいいだろうか
向こうの世界の出来事は、はっきりと覚えていた
自分のやったこと、交わした会話、目にした光景
全て覚えていたけど、それが現実なのか都合のいい夢だったのか、こうしてこの世界に戻ってきた今となっては自信がなかった
ふと、左手に違和感を感じる
「あれ？僕、左手握ってたの？」
身体中が上手く動かせないから気づかなかったけど、まるで石像になったかのようにきつく左手を握りしめていた
「ああ。最初っから、ずっと握りこんだままだったらしいよ。成長にも悪い影響が出るからって、医者が何度か開こうとしたけど全然ビクともしなかったって」
潤の説明を聞いて、左手を持ち上げてみる
開けそう？
そう聞く雅紀に、多分と返す
自分の手なのに、なかなか開かない指を右手も使ってゆっくりと伸ばしていく
そうして開かれた拳の中
「何それ？」
「いつの間にそんなの握ってたんだよ」
「・・・」
何も言えないまま、僕はそれを胸の前で握りしめる
握りしめ続けられ、少しくたびれた緋と黄色のブレスレット
ニノの、サトシくんの
みんなの顔が声が、蘇る
「とても大事で、大切な人に貰ったんだ・・・」
震える手でそれを左手にはめ直す
十二歳のショウには少し大きかったそのブレスレットは
二十歳の翔にはぴったりの大きさだった
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しゅり(プロフ) - 乃絵さん» コメント有難うございます。乃絵さんの心に触れる作品を書けたこと、嬉しく思います。悲しい終わり方だけれども、どこか救われるものがあればいいなと思い書いた作品なので、素敵な感想頂けて安心しました。楽しんでいただけて何よりです！ (2016年5月13日 10時) (
レス) id: 642534afe5 (このIDを非表示/違反報告)
乃絵(プロフ) - 完結おめでとうございます。世界観に引き込まれて読んでいました。中心の3人がそれぞれの優しさで世界を動かし、胸が詰まる思いでした。先の世でカズナリとサトシ、出会えるといいなと思います。読ませていただいてありがとうございました。 (2016年5月1日 14時) (レス) id: 40036218a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゅり
| 作成日時：2016年4月15日 19時
