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じりじりと距離を詰めてくる仮面たち
対峙するサトシくんは慌てる様子もなく周囲に視線をやる
そして何の前触れもなく、流れは変わる
「走れ！！！」
蹴り込んで正面の敵に切り込むと同時に、サトシくんは叫ぶ
その声に反応して僕も正面の扉に向かい飛び出す
「逃すな！」
ミヤビの声に、数人が僕に向かってくるが
「させねえよ」
一瞬で追いついたサトシくんの剣に敗れていく
サトシくんが作った切れ目から、敵の輪を抜け出す
拘束がなくなり走りやすくなった分、正面から向かってくる敵も、ひょいと交わして逃げ出すことができた
「追え！！」
ミヤビの声に焦りが滲んでいるのがわかる
ということは、この扉の向こうに待ち受ける敵はいないんだろう
正面の扉まであと、数メートル！
「ぅ・・・！」
とても小さな声だったけど、それは確かに僕の耳に届いた
「っ、サトシくん！？」
振り向いた僕の目に飛び込んできたのは
この世界で何度も見ることとなった血飛沫が上がる瞬間
全身の血が引いていく感覚
ひゅっ、と喉の奥で変な音が鳴ったが
ふらつくことなく再び剣を振るう姿に安堵の息が漏れた
「何やってんだ！早く行け！」
まだ僕が広間にいることに気づいたサトシくんが、左半身を庇いながらも大声で怒鳴る
倒れる敵の数だけ、サトシくんにも傷がつく
利き腕は無事だけどいつやられてもおかしくない状態
そして仮面の男を倒しても、まだミヤビが残っている・・・
「行くんだ、ショウ！俺のことはいいから、行け！」
サトシくんの声が膜が張ったように遠くなる
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しゅり(プロフ) - 乃絵さん» コメント有難うございます。乃絵さんの心に触れる作品を書けたこと、嬉しく思います。悲しい終わり方だけれども、どこか救われるものがあればいいなと思い書いた作品なので、素敵な感想頂けて安心しました。楽しんでいただけて何よりです！ (2016年5月13日 10時) (
レス) id: 642534afe5 (このIDを非表示/違反報告)
乃絵(プロフ) - 完結おめでとうございます。世界観に引き込まれて読んでいました。中心の3人がそれぞれの優しさで世界を動かし、胸が詰まる思いでした。先の世でカズナリとサトシ、出会えるといいなと思います。読ませていただいてありがとうございました。 (2016年5月1日 14時) (レス) id: 40036218a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゅり
| 作成日時：2016年4月15日 19時
