＊ ページ10
「おー、うまそ・・・」
「ほら、突っ立ってないでこっち座んなよ。お皿と箸はこれね」
つっかけを脱いでシートの上に腰を下ろせば、雅紀が甲斐甲斐しく皿を差し出してくれる
三段の御重には、潤が作ったにしては、らしくない和食がたくさん詰まってた
「今年の正月にはお節を全部手作りするのが目標でさ、最近和食を練習してんの。ちょっとだけ洋を取り入れたりとかしてみたんだけど、俺一人じゃもう分かんなくて。だから、二人にも食べてもらおっかなって」
これが出汁巻、こっちが鯛の煮付け。初物だからね、秋刀魚も焼いて来たよ・・・
次々止まんなくなる潤に勧められるがままに、俺と雅紀は美味い飯を食い続けた
「はー、もう入んない！美味しかったー！」
「お粗末様でした。ほら、黒豆茶。スッキリするよ。大野さんは？」
「ん。貰う」
あんなにぎっしり入ってた御重も、綺麗さっぱり食べ切って、片付けてる潤もどことなく嬉しそうだ
さわさわと、少しずつ冷たくなってきた九月の昼下がりの風が、満腹で眠くなった俺たちの間を駆けていく
知らず張り詰めていた気持ちの糸が、少しずつ少しずつ、緩んでく
「・・・にしても、綺麗だね」
「？・・・あぁ、これか」
沈黙を破ったのは潤の小さな呟きで、
何かと思って振り返った先、その視線が向くのは俺の手がけている絵の方向で
「雨の日も、元気出そうだよね。あと、お天道様が見てる前じゃ悪い事出来ないって思っちゃう」
「テキトーだな、お前」
「いいじゃん、そう思ったんだから」
四メートル弱の打ちっぱなしのコンクリートは、今んとこ、その三分の二に色が入っている
脚立を並べて、天井まで繋げて描いたのは、澄み渡る青空
こっち側の端は少し白みがかった色で始まり、徐々に蒼く濃く重ねて来た空は、今度は少しずつ紫紺を抱く
「朝焼けから陽が沈むまで、か。・・・好きだよ、俺」
「おう、ありがと」
よくあるにこにこ笑顔の太陽は敢えて描かず、射し込む光の感じや流れる雲の陰影でぼかして作り出した空の風景は、手を込めすぎて期日までに仕上がるかどうか危うくなっちまっていた
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しゅり(プロフ) - みーこさん» みーこさんお久しぶりです(*^^*) また足を運んでもらえて嬉しい限りです！ そうなんです、いるんですよねこれが。笑 (2016年12月1日 9時) (
レス) id: 866caf6267 (このIDを非表示/違反報告)
みーこ(プロフ) - (ノ゜ο゜)ノ おお、二宮さんがここに！ (2016年11月30日 1時) (レス) id: 5ae3e13203 (このIDを非表示/違反報告)
しゅり(プロフ) - なおっちさん» なおっちさんはじめまして！更新を楽しみにしていただけて、本当に嬉しいです！ 私も元々読む専だったので、ワクワクするお話だと言ってもらえるのは本当に有難いです。後編も是非目を通してもらえたらと思います。コメントありがとうございました！ (2016年11月24日 1時) (レス) id: 866caf6267 (このIDを非表示/違反報告)
しゅり(プロフ) - 碧李さん» うふふ、期待通りの反応でにやにやしちゃう！笑 こんな拙い文章でそこまで読み取ってもらえて嬉しい限りです(´∀｀*) 後編も怒涛の駆け足更新だけど、楽しんでもらえますように！ (2016年11月24日 1時) (レス) id: 866caf6267 (このIDを非表示/違反報告)
なおっち(プロフ) - はじめして。なおっちと申します。とても不思議なワクワクするお話で更新を楽しみに待ってます。お忙しいと思いますが、後編頑張って下さい。私は文才なしの読む専門です。(泣) (2016年11月23日 14時) (レス) id: 9f0727f700 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゅり
| 作成日時：2016年11月11日 2時
