＊ ページ34
「彼は、翔くんはどこに・・・！？」
「会いたいですか？」
「勿論！！」
喰い気味の俺の返事に、二宮さんは少し微笑んだかと思うと
「そうですね。それじゃあ、特別ですよ？」
言いながら、小さなリモコンを押す
微かな機械音とともに、俺の視界に入ってた隣の空間とを隔てるブラインドが、ゆっくりと巻き上げられていく
徐々に姿を見せるその空間は、意図的に照明が抑えられてんのかどこか仄暗さを感じさせた
半分ほど上がったところで、二宮さんがゆっくりと近づくのを後ろから追えば、
その向こうに見えるのが、まさに研究施設の中核に当たる場所なんだってのが分かった
ぼんやりと青く光ってたのは、大きなモニターの液晶の光で、部屋自体の照明は灯されていない
こっちの部屋の、あの絶景のガラス張りの窓よりももっとおっきなそのモニターは、左半分に島の全景や研究所内の監視カメラの映像が映されている
残る右半分にはびっしりと英数字の羅列が並んでて、それが左から右へと物凄い勢いで流れている
モニターの周りにはごつい機械がいくつも並んでて、何秒か毎にちかちかと点滅を繰り返す様はまさに忙しなく起動してるのを窺わせた
そして、その様々な機械が並ぶ空間の、ど真ん中
モニターの正面に位置する空間に、“それ”はあった
「あれ、は・・・」
最初は、マネキンかロボットか・・・とにかく、人型の何か、だと思ってた
たけど、透明なガラスケースに横たわる“それ”は、確かに生きてる人間で
写真の面影を残す、聡明そうな顔立ち
伏し目がちに覗く、長い睫毛の縁取る瞼の奥の瞳
青白い光に照らされた、淡く色づく唇と透き通るような肌の白さ
「ほら。念願通り、お待ちかねの対面ですよ。・・・会いたかったんでしょう？」
「そんな・・・なんで・・・。なんで、こんな・・・」
透明なガラスケースには、モニターの横にある機械から、幾つもの管が伸びていて、それらは全て、横たわる彼の元に続いている
それは、お世辞にも生きてると言えないような姿で、しかも決して少なくともここ数日の話じゃ無さそうで
「なんで・・・翔くん・・・！」
まるで人形のように横たわる探し人に、絞り出した声が震えちまうのも、目の前の光景が涙で霞むのも、止める術なんて無かった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 597人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しゅり(プロフ) - みーこさん» みーこさんお久しぶりです(*^^*) また足を運んでもらえて嬉しい限りです！ そうなんです、いるんですよねこれが。笑 (2016年12月1日 9時) (
レス) id: 866caf6267 (このIDを非表示/違反報告)
みーこ(プロフ) - (ノ゜ο゜)ノ おお、二宮さんがここに！ (2016年11月30日 1時) (レス) id: 5ae3e13203 (このIDを非表示/違反報告)
しゅり(プロフ) - なおっちさん» なおっちさんはじめまして！更新を楽しみにしていただけて、本当に嬉しいです！ 私も元々読む専だったので、ワクワクするお話だと言ってもらえるのは本当に有難いです。後編も是非目を通してもらえたらと思います。コメントありがとうございました！ (2016年11月24日 1時) (レス) id: 866caf6267 (このIDを非表示/違反報告)
しゅり(プロフ) - 碧李さん» うふふ、期待通りの反応でにやにやしちゃう！笑 こんな拙い文章でそこまで読み取ってもらえて嬉しい限りです(´∀｀*) 後編も怒涛の駆け足更新だけど、楽しんでもらえますように！ (2016年11月24日 1時) (レス) id: 866caf6267 (このIDを非表示/違反報告)
なおっち(プロフ) - はじめして。なおっちと申します。とても不思議なワクワクするお話で更新を楽しみに待ってます。お忙しいと思いますが、後編頑張って下さい。私は文才なしの読む専門です。(泣) (2016年11月23日 14時) (レス) id: 9f0727f700 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しゅり
| 作成日時：2016年11月11日 2時
