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柔らかなその声は、俺とアポロの間の張り詰めた空気を前にしても揺らぐ事はなく、翔くんはそのまま話を続ける
「僕は、僕の生まれたこの国のことが大好きです。それこそ、僕の全てを捧げてでも守りたいと、そう思えるくらい。・・・でも、自分で選んだ道なのに、それでもやっぱり、智くんと生きる未来が欲しいと、望んでしまいました」
「翔くん・・・」
「この国の今があるのは、勿論あなたのおかげです。だけど、その為の対価を差し出す事が、もう随分と、僕には苦痛でしかなかった。智くんが言ってくれたんです。誰かの犠牲の上に成り立つ幸せなんて、偽物に過ぎないって。・・・僕は、他の誰かにこんな思いをさせたく無かった。傷つく姿を、見たく無かった」
ここに留まり続ける事ができたのは、ただひたすらにその一心だけだったと、素直な本音を吐露する
「あなたはずっと、僕にはじまりの御子の姿を見ていたんだって、今ならよく分かります。でも、僕はあなたが思う通りにはなれませんでした。逆らえる立場じゃ無いと分かっていても、どうしても智くんへの想いを消すことなんて、できなかったから。・・・どれだけ奥へ追いやって、鍵をかけて出て来ないようにしても、欲深い願いを、愚かな期待を、抱かずにはいられなかったんです」
「・・・」
だから今日、俺の提案を受け入れたのだ、と
不確かな未来だとしても、深い絶望が待ち受けようとも、それでも明日を夢見てしまったのだ、と
そこで一度口を閉ざすと、翔くんはゆっくりと深い呼吸を繰り返す
「例え国中から非難されようと、誰からも祝福されなくても、僕はもう、自分の心に嘘はつけません。もう、取るべき手は間違えない」
そして、力強い声で一言
「今度こそ、僕は僕のために生きたい。だから、僕の幸せを手にするために、この国の未来よりも、僕自身の願いを選びます」
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しゅり(プロフ) - きよさん» きよさん、最後までお付き合いいただきありがとうございました！ 出来るだけハッピーエンドを迎えられるように、と思っていたので、そう言って頂けて嬉しいです。型破りな自由奔放神父様を感じて頂けてありがとうございます笑 素敵なコメントありがとうございました！ (2021年2月13日 19時) (
レス) id: 9366a89cfd (このIDを非表示/違反報告)
きよ(プロフ) - しゅりさん、完結おめでとうございます。アポロ様どうしたらいいか解らなくなってたんですね。ちょっとツンデレ気味？智くんの神父様は、何にも縛られない智くんならではの素敵な神父様なんだろうなと納得です。潤くんも生まれ変わって、みんな幸せで良かったです。 (2021年2月9日 20時) (レス) id: d9af776466 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゅり
| 作成日時：2021年1月19日 18時
