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「・・・その意志が、揺らぐことは無いのだな」
「はい」
「その先に待ち受けるのが苦難の道だろうと、歩みを止める気は無いのだな」
「はい。覚悟は出来ています」
「馬鹿野郎。翔くんだけに辛い思いなんてさせねえよ。そん時は、俺も一緒だ」
翔くんに続く俺の言葉に、アポロはゆっくりと目を伏せる
長い睫毛の先が震え、ゆっくりと瞼が持ち上がる
そして再び、金色の瞳が俺たちを見据えた後
「それが答えであるならば。我も又、その決断に従うのみ」
微かな笑みと共に溢れたその言葉が、一瞬、よく分からなかった
数秒間掛けて漸く届いたその言葉の意味に、思わず翔くんの方を向く
翔くんもまた、信じられないと言いたげな表情で、俺のことをじっと見つめていて、やがてその大きな瞳が、みるみる水分を帯びていく
そういう俺の視界も、少しずつぼやけて歪みだしていた
「誓約を反故とするならば、預かっていた対価も返さねばなるまいな」
ぐいと雑に涙を拭った俺たちを見ながら、アポロが思い出したように言葉を続ける
すいと腕を振れば白い光が二つ三つと浮かび上がり、ふわふわと漂いながら、翔くんの身体へ吸い込まれ消えていく
繋いだ手の先から、翔くんの身体が微かに熱を帯びていくのを感じたが、柔らかな光が消えると同時、その熱も自然と遠ざかっていった
「かつて我に託されたその命は、確かに今、翔の元へと舞い戻った。この国の恒久の安寧は我の手から離れ、その行先は我の預かり知らぬ所となる。止まっていた時間は動き出し、その身その命を縛るものは、もはや何処にも在りはせぬ」
「あ・・・」
かちり、小さな音が聴こえた
吐息のような声を溢しながら、翔くんがゆっくりと握りしめていた右手を開く
あんなにも眩しくちかちかと瞬いていた赤い石は、今はもう少しの煌めきも持たずに、そこから続く金色の鎖は、重力に負けてしゃらり、床へと落ちていく
翔くんの白く細い首筋には、もう何の柵も存在しなかった
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しゅり(プロフ) - きよさん» きよさん、最後までお付き合いいただきありがとうございました！ 出来るだけハッピーエンドを迎えられるように、と思っていたので、そう言って頂けて嬉しいです。型破りな自由奔放神父様を感じて頂けてありがとうございます笑 素敵なコメントありがとうございました！ (2021年2月13日 19時) (
レス) id: 9366a89cfd (このIDを非表示/違反報告)
きよ(プロフ) - しゅりさん、完結おめでとうございます。アポロ様どうしたらいいか解らなくなってたんですね。ちょっとツンデレ気味？智くんの神父様は、何にも縛られない智くんならではの素敵な神父様なんだろうなと納得です。潤くんも生まれ変わって、みんな幸せで良かったです。 (2021年2月9日 20時) (レス) id: d9af776466 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゅり
| 作成日時：2021年1月19日 18時
