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ゆっくりと、天を仰ぐ
時刻は日付が変わる頃、御子様は既に自室でお休みになられているだろう
睡眠を必要としない僕にとって、夜が明けるまでのこの時間は、強く孤独を感じる瞬間でもある
だけど年に一度のこの日に限っては、夜間の孤独よりも明日への期待に胸が躍るのだ
薄っすらと立ち込める雲が、少しずつ風に流されていくのをぼんやりと見つめていると、ざわり、胸の奥が騒ぐ
それと同時に、僕の背後で風が揺れた
「ジュン」
「はい、アポロ様」
瞬時に姿をお見せになられたアポロ様は、真っ直ぐに聖域と外の世界とを繋ぐ、境界の間へと向かわれる
「我はこれから聖域を離れる。翔には、唄は夜に聴くと伝えておけ」
「随分とお早い御出立ですが、いかがされたのでしょうか」
「聖都近隣にて、少しばかり気になる気配があったのでな。危害を加える事はなくとも、我が考える通りの魂の在り様なれば、見過ごす訳にはいかぬ」
美しい銀髪が、水の流れの様に優雅に揺れるのを見つめながら、僕もアポロ様の後を追う
唯一神たるアポロ様が憂慮される程の相手となれば、選択肢は限られてくるだろう
僕の頭には、御子様が一心に想いを寄せる人の名前が浮かんだ
「丁度唄の力の効力が弱まる頃合いではあったが、此度は星の巡りが良くない」
「星降り夜ですね」
「遠くへ追いやった筈の過去に引き摺られるのだろう、心が不安定となり力が弱まった様だ。国全体の加護と結界の効力が落ちている。一朝一夕で破れる事は無かろうが、偶には見回りに出向くのも悪くは無い」
ふと、アポロ様の歩みが止まる
何かを考え込むご様子でじっと宙を見つめてから、くるりと僕の方を振り返られると
「聖域はお前に任せるが、結界は少し強化しておくか」
ふ、と一つ息を吐く
アポロ様の吐息から生まれた眩い光は、そのまま四方八方へと走り抜けていく
聖域全体にぐるりと結界が張り巡らされていくのを感じながら、僕はどうしても確認しておかなければならないことを口にした
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しゅり(プロフ) - きよさん» きよさん、コメントありがとうございます。二人が何を目指すのか、その結果ぎどう繋がっていくのか、これから徐々に明らかになっていく予定ですので、引き続き楽しんで頂ければと思います。 (2020年10月24日 20時) (
レス) id: 9366a89cfd (このIDを非表示/違反報告)
きよ(プロフ) - しゅりさん、更新ありがとうございます。読むにつれて不安になってきます。過去の記憶を持つ二人が何をするのか、翔くんが一緒にいる彼が雅紀だとして何故寝たきりなのか、無事に成功したとしても翔くんと雅紀は何十年と聖域にいたから戻って平気なのか、すごく不安です (2020年10月24日 7時) (レス) id: ae2dee5c90 (このIDを非表示/違反報告)
しゅり(プロフ) - はるさん» はるさん、こちらにもお立ち寄りくださりありがとうございます。智目線で、少しずつ進んで参りますので、是非楽しんで頂ければと思います！ (2020年10月12日 19時) (レス) id: 9366a89cfd (このIDを非表示/違反報告)
しゅり(プロフ) - まりもさん» まりもさん、早速お立ち寄り頂きありがとうございます。まだまだ他のメンバーも登場してまいりますので、そちらも楽しんで頂ければと思います！ (2020年10月12日 19時) (レス) id: 9366a89cfd (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - しゅりさん、こんばんは。続編ありがとうございます！とても嬉しいです。あの時の2人がどういう風になっていくのかとても楽しみです！ (2020年10月11日 21時) (レス) id: 6cd0f843d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゅり
| 作成日時：2020年10月11日 19時
