over the rainbow ＊OS＊

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そして聴こえるのは、智くんの透き通った、きれいな唄声


さわさわと木の葉の揺れる音も、賑やかな虫の合唱も、まるで智くんに出番を譲るみたいにぴったりと聞こえなくなる

かわりにそよそよと優しい風が智くんの髪を揺らして、美しい唄を遠い空まで届けようと吹き抜けた


.


智くんの口から紡がれるのは、不思議な響きの言葉たち

見知らぬ国の見知らぬ言葉で奏でられる歌は、どんなにじっと聴いても、歌詞の意味は全く分からない

だけど智くんの唄声からは、意味が分からなくったって、きっと素敵な曲なんだってのが、十分に伝わってくるのだ



最後の一小節を歌い終えて、いつもの癖なのか、小さく礼をした智くんに、僕はこれでもかと拍手を送った



「素敵な歌だね！歌詞は全然分かんなかったけど、でも、優しくて、あたたかくて、明るくて・・・すごく素敵だったよ！」

「あんがと。俺も、正直言って意味は全然分かってねえんだよ。先生からは、歌い方と何となくの意味を教えてもらっただけだしさ」

「ううん。すごくすごく、素敵だった」

「へへっ、翔くんならそう言ってくれると思った。ね、どんな意味か、知りたい？」

「うん、教えて！」




僕の言葉に嬉しそうに笑った智くんは、おいでと手招きをして僕の肩を抱く

僕にも見えるようにして広げたメモを二人で覗き込んで、智くんは一つひとつ、丁寧に意味を教えてくれた

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