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姿の見えない花火の音が止み、お祭りが終わったことを知る
静かになるその瞬間を待っていたかのように
「明日・・・帰るんだよね？」
ぽつり、翔くんが呟いた
「うん、昼前にはもう出てくよ」
そっか、と返したきり、黙ってしまった翔くん
だけど、小さく深呼吸をしたかと思うと
「あのね、智くん」
「なあに？」
「好きだよ」
思わず横に座る翔くんの方を向けば、赤いお面が俯いていた
その手は、俺がとったうさぎのぬいぐるみをぎゅっと抱きしめていた
.
.
「俺もだよ」
ぴくり、小さく肩が跳ねる
「俺も好きだよ。じゃなきゃ、こんなに楽しめなかったもんな」
「え・・・」
「翔くんと仲良くなれてよかった。この夏がこんなに楽しかったのは、翔くんのおかげだよ。最初から最後まで、本当にありがとうな！」
「・・・ううん。こちらこそ、だよ」
競うように蝉の声が聴こえ出す
まるで、一瞬変わった空気を誤魔化すかのように、降り注ぐ蝉時雨が俺と翔くんを包み込む
.
.
「そろそろ帰らなきゃね」
言うが早いか、勢いよく翔くんが立ち上がった
翔くんに倣って脱ぎ捨てていたサンダルを、履き直そうと慌てふためく俺の手から、翔くんは木箱とグラスを取り上げた
「これ、割れないように箱に入れとくね」
「おう、助かる」
丁寧にしまいこみ、また紙袋へと戻してくれた
「戻ろうか」
そう言って先を行く翔くんの顔は、お面の向こうに隠れて見えなかった
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suzurinrin(プロフ) - しゅりさん、新しいお話拝読させていただきました。切なくて胸がギュッとくるお話でしたが最後はいろんな想像が膨らみ温かな気持ちになりました。しゅりさんの創られるお話、本当に大好きです。ゆっくりで構いません。これからもどうか執筆 続けてください。待ってます (2019年9月7日 12時) (
レス) id: 358d000b2c (このIDを非表示/違反報告)
しゅり(プロフ) - セツさん» セツさん、コメント頂きありがとうございます！素敵な感想を頂けて作者冥利に尽きます。 時間の余裕があれば、彼らのお話をまだまだ紡いでいきたいと思います。長くお待たせしてしまうかもですが、楽しみにして頂ければ幸いです。お立ち寄り頂き有難うございました！ (2019年9月6日 19時) (レス) id: 9366a89cfd (このIDを非表示/違反報告)
しゅり(プロフ) - きよさん» 私も彼らのお話をまだまだ書いていきたいと思います。時間の余裕があれば続編or番外編も考えていますので、気長にお待ち頂ければ幸いです。 お立ち寄り頂きありがとうございました！これからも応援いただける様頑張ります！ (2019年9月6日 19時) (レス) id: 9366a89cfd (このIDを非表示/違反報告)
しゅり(プロフ) - きよさん» きよさん、コメントありがとうございます！何度も読んで頂けて嬉しい限りです。他の作品にも足を運んで頂けてるなんて光栄です。私も普段コメント出来ない人なので、お気持ち分かります。笑 (2019年9月6日 19時) (レス) id: 9366a89cfd (このIDを非表示/違反報告)
きよ(プロフ) - しゅりさん、前回のコメント漢字が間違っていましたね。再開→再会でした(泣)恥ずかしいです。やはり何度読んでも切ないです。「雨宿り」のような続編、番外編、読みたくなります。なかなかコメントしないのにあつかましくて申し訳ないです。 (2019年9月6日 11時) (レス) id: 7f433b7b81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゅり
| 作成日時：2019年9月5日 23時
