おまけ ページ49
「宇津橋、」
「前世の話やねんけど」
私が名前を呼んだのと、宇津橋が意味がわからない話の切り出し方をしたのは同時だった。
「ぜんせ」
「厳密に言うたらちゃうけど……まぁ前世やな」
「うん、とりあえず突っ込みはあとにして聞こうか」
暗がりの中の、街灯に照らされた宇津橋の横顔は別にふざけているわけでもなさそうで、余計リアクションに困ってしまう。
「前世の俺は、お前のことが好きやって」
「すっ……まって？」
「なに？」
「なにじゃないよね！？」
びっくりした。さらりととんでもないことを言った。
空を眺める余裕なんてない。思わず宇津橋の腕を掴んだ。
「前世の話やで。ほんで、お前に告白したらお前は死ぬ」
「なんて呪い？」
「ほんまにな。なんの呪いやねんって話やで」
訳のわからない宇津橋の話。
現実味なんてまるでない創作の話。
「次また出会っても、好きやって伝える度にお前は死ぬ」
宇津橋の声は落ち着いていた。やけに淡々と話をする。諦めすら感じる声色で。
「何回繰り返しても、僕はどうしようもなくまたお前を好きなままで」
作り話だ。だってあり得ない。
「何回もお前を殺してまうねん」
……でもその話が本当なら、今までの態度に納得はできる。
なにも言えずにいると、宇津橋の手が私の手を握り込む。夏だというのに冷たい手。緊張しているのだろうか。
わからないことだらけだ。
わからないことだらけなのに。
「お前のこと、大嫌いやで」
その言葉が『どうしようもなく好きだ』っていう心の叫びだってことには、気づいてしまった。
頬が熱い。
でも素直に伝えてしまってはいけない気がして。
「私も、大嫌いだよ」
握った手に力を込める。
ねぇ宇津橋、これで合ってた？
まだ私たちは、こうしていられるのかな。
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千白は山に住む(プロフ) - 凡人さん» ありがとうございます！私もお気に入りで、昔かいたものなのについ番外編を書いてしまいます！そう言っていだだけるのならここに更新しに来てよかったー！と思えます！ありがとうございました！ (2020年6月20日 9時) (
レス) id: 392f79c1f8 (このIDを非表示/違反報告)
千白は山に住む(プロフ) - bhさん» 長らくお返事できていなくてすみません！ありがとうございますー！ (2020年6月20日 9時) (レス) id: 392f79c1f8 (このIDを非表示/違反報告)
凡人(プロフ) - 更新されていてびっくりしました。私が本当に大好きなお話です...ありがとうございます！ (2020年6月5日 18時) (レス) id: 0a526fe040 (このIDを非表示/違反報告)
bh(プロフ) - 大好きです、これからも応援しております。 (2020年3月15日 0時) (レス) id: 204dfe46bb (このIDを非表示/違反報告)
千白は山に住む(プロフ) - 水澪恋さん» 最後までお付き合いいただき、ありがとうございました！あげて落とす仕様でしたが楽しんでいただけていたら本望です！ありがとうございます、今後もがんばります(*^^*) (2019年10月12日 20時) (レス) id: f80b5e4d2a (このIDを非表示/違反報告)
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