大学2年生・冬 ページ36
いつものフリースペースで、何をするでもなく座っていると、遠くからあいつがやって来るのが見えた。
今日はなんの話を振ってくるんやろ。
そう思っていると、なぜか彼女は僕を素通りした。予想外で、思わずその背中を目で追ってしまう。
うそや、こんなにも動揺している。今になって愛想尽かされた？
はじめは嫌われるつもりやった、その思惑通り。そうやろ。なのになんでこんな。……こんな。
そんなことを考えていると、急に彼女は振り返って、僕の方に歩いてくる。視線を床に落としていると、覗き込むように目を合わせてくる。
そして、言った。
「私、宇津橋が好きだよ」
本当は一番望んでいるけど、一番聞きたくない言葉。その言葉に、僕は本音で返せない。返しちゃいけない。
彼女は言葉を続ける。
「なんで宇津橋は、私のことが嫌いなの」
「なんでそのくせに、妙にやさしいの」
「悲しそうな顔で笑うの」
「諦めたみたいな顔をするの」
僕はなにも言えない。
嫌いやない、嫌いになりたい。
本当は冷たくしたいわけやない。
悲しいに、決まっとうやろ。
諦めきれない、でも、諦めるしかない。
だって、あんなお前を、冷たくなって動かないお前を、もう見たくないんやって。
やっぱり俺が甘かった。友人として側に居られたらいいと思った、それすら望みすぎだったらしい。
ちゃんと、ちゃんとお前の幸せを、願うから。
「しつこい。」
僕はなるべくはっきりと、そう言ったつもりだった。
「しつこいから仕方なく構ってやっとっただけやで。勝手に勘違いせんとってほしいわ、ホンマ」
なのに声は震えている。これじゃ説得力なんてない。でも、どうか騙されてくれ。頼むから。
「……お前と居ったら、辛いわ」
はっきり言わなあかん。目を見開いて僕を見上げるお前を、拒絶しないと。
「もう僕に……構わんとって」
席を立った。もう、僕たちの関係は白紙に戻る。
これでええんやろ。
これで、こいつに明日は来るんやろ。
……なあ、頼むわ。ホンマに。
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千白は山に住む(プロフ) - 凡人さん» ありがとうございます！私もお気に入りで、昔かいたものなのについ番外編を書いてしまいます！そう言っていだだけるのならここに更新しに来てよかったー！と思えます！ありがとうございました！ (2020年6月20日 9時) (
レス) id: 392f79c1f8 (このIDを非表示/違反報告)
千白は山に住む(プロフ) - bhさん» 長らくお返事できていなくてすみません！ありがとうございますー！ (2020年6月20日 9時) (レス) id: 392f79c1f8 (このIDを非表示/違反報告)
凡人(プロフ) - 更新されていてびっくりしました。私が本当に大好きなお話です...ありがとうございます！ (2020年6月5日 18時) (レス) id: 0a526fe040 (このIDを非表示/違反報告)
bh(プロフ) - 大好きです、これからも応援しております。 (2020年3月15日 0時) (レス) id: 204dfe46bb (このIDを非表示/違反報告)
千白は山に住む(プロフ) - 水澪恋さん» 最後までお付き合いいただき、ありがとうございました！あげて落とす仕様でしたが楽しんでいただけていたら本望です！ありがとうございます、今後もがんばります(*^^*) (2019年10月12日 20時) (レス) id: f80b5e4d2a (このIDを非表示/違反報告)
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