Rosen〜ローゼン ページ6
「いや、違くて、にゃず、にゃ、にゃず……」
「？」
「ナズナ、だよ兄サン」
「ああ、なずな君っていうんだ。よし、今度こそ覚えた」
この可愛くて女装が似合いそうな金髪赤目の彼が仁兎なずな君。少なくとも忘れる事は無いだろう。
……クロウと一緒でゴシック系が似合いそうだなぁ。
「……駄目デスよ、兄様」
クロウが訝しげな顔で心を読んできた。
「…………分かってるよ」
昔、疑うことを知らなかった素直なクロウに何度も女装させた事があった。
ただ、純粋に可愛いと思って。
でも、時が経つにつれてクロウはそれを嫌がるようになっていった。そりゃそうだよね、クロウだって男の子なわけだし。
それに僕だって、他人が嫌がっていることを無理矢理させるような暴君ではない。多分。
「あの、おれ、シュトラの、特にRosenのファンだったんです！」
なずな君は僕に偏愛的な想像をされている事も知らず、僕への憧れを熱く述べた。
シュトラ。僕がRosenの肩書きで所属していたユニット、Blumenstrausの略称だ。
まさか今の時代の生徒にシュトラを知っている子がいるなんて。それも、こんなに目を輝かせて僕を見ている。
すごく、すごく嬉しい。
神様、こんな良い子を自分の趣味嗜好で一度汚してしまった事をどうか御許し下さい。
「わぁ、ありがとう！もう昔の事なのに、覚えている人がいるなんて、とても嬉しいよ」
ファンサービスとして、握り締められていた両手を包み込んで握手してあげた。
勿論、アイドルスマイルも忘れずに。
するとなずな君は、更に噛みまくってお礼を何度も口にした。
「あ、そうだ。僕、今日から3ヶ月間、アイドル科のスクールカウンセラーに配属されてね。火曜日と金曜日だけ学院にいるから。悩み事とか無くても、いつかお話ししようね」
しれっと宣伝をしておいた。
宜しく、と手を振って、今日のところは彼と別れた。
さて、僕はまず理事長室へ来るように言われていたんだったな。
職員玄関にある校内地図を凝視する。
……無いじゃん。理事長室。
探し損ねたか。もう一度地図に視線を巡らす。
やはり無い。
どういうことかと首を傾げていると、聞き覚えのある声の軽口が聞こえてきた。
「お〜、青海じゃないか。どうした、弟妹が愛しすぎて参観に来たのか？」
やはり、この声は佐賀美先生だったか。
僕の親しい先生の内の一人だ。
この人と交わすジョークは、もはや恒例だった。
「いいえ、参観なんて立派なものじゃないです。……つけてきたんですよ」
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流離いのsecret(プロフ) - ぎゃぁぁ本当だ……！ご指摘ありがとうございます！ 細かいところまで読んでいただき嬉しいばかりです笑 (今後気を付けます笑) (2019年7月13日 22時) (
レス) id: 451ca50573 (このIDを非表示/違反報告)
しか - ごめんなさい。｢混沌｣でした!! (2019年7月13日 21時) (レス) id: 3bc0209618 (このIDを非表示/違反報告)
しか - ｢悩み｣の話の｢敬人｣が｢敬斗｣になってますよ（コソッ面白かったです。これからも頑張ってください！ (2019年7月13日 20時) (レス) id: 3bc0209618 (このIDを非表示/違反報告)
流離いのsecret(プロフ) - ありがとうございます！頑張ります！(語彙力ない)笑 (2019年6月24日 14時) (レス) id: 451ca50573 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - 面白いです(語彙力ない) (2019年6月23日 21時) (レス) id: 19c16fa711 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：流離いのsecret | 作成日時：2019年5月2日 14時
