悩み ３人目 ページ29
司くんがLINEで先輩方に連絡を取った結果、今日の練習時に僕が見学しに行くということで落ち着いた。
放課後を楽しみにしているね。と素直に述べたところ、彼は更に顔を赤く染めて焦りながらも丁寧にお辞儀をして退出した。
さて僕は只今、次の相談主のプロフィールの頁を探している最中である。
1年A組の紫之創くんだそうだ。
どんな容姿なんだろう。どんな服が似合うだろう。
様々なイメージを頭に思い描きながら、紙を捲る。
「……ｯん゛んん！！」
ようやく見付けたその子の頁には、僕としてはもう驚きを隠せない程の可愛さを兼ね備えた美少女……いや、美少年の写真が掲載されていた。
想像以上だ。
ああ、この子はあれだ、保健室で眠っていた天使君だ！夢や幻などでは無かった事が証明された。
うわあ、妄想が捗る。
今から天使に会えるのだと胸を躍らせて、プロフィールを熟読する。
しばらくすると、控え目なノックが聞こえてきた。
咳払いをし、調子を整えて扉を開いた。
「あ、こんにちは。紫之創です」
「こんにちは。僕は青海ジゼルっていいます。さあ、どうぞ入って」
飛び出そうな『可愛い！』の言葉を飲み込んで、笑顔の仮面を被る。
「失礼します」
容姿だけでなく、声も可愛らしいわけだ。
こんな逸材を男子校に置いておいて良いのだろうか。不純な感情が量産されてしまいそうだ。
そんな小さな疑問を抱えながら言葉を交わし、頃合いを見計らって本題を聞き出した。
「僕、勇気が欲しいんです」
「勇気？」
抽象的な願いを、彼は真剣な顔で語った。
「はい。僕、少し引っ込み思案で、周りに引っ張ってもらうばかりなんです。だから、僕も強くなってみんなを引っ張れるような人になりたくて」
語気は所々弱かったが意志は揺るぎなく、その瞳にはひと押しすれば開花しそうな可能性を秘めていた。
よし、僕が彼の背中を押してあげようじゃないか。
数秒考えて、言いたいことを綺麗に並べあげた後に口を開いた。
「ならば、創くんはライオンになれば良い」
「ライオンさん、ですか？」
彼は大きな瞳を更に開いて、首をかしげた。
何故この場において百獣の王の名が躍り出たのか、心底不思議そうな顔だった。
純粋な証。
僕みたいに腹に黒いものを飼っている人間は、見当外れな事を言われると顔をしかめるものだ。
「そう。ライオンさん」
僕も復唱した。
『ライオンさん』って、可愛すぎかよ。
なんて思いながら。
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流離いのsecret(プロフ) - ぎゃぁぁ本当だ……！ご指摘ありがとうございます！ 細かいところまで読んでいただき嬉しいばかりです笑 (今後気を付けます笑) (2019年7月13日 22時) (
レス) id: 451ca50573 (このIDを非表示/違反報告)
しか - ごめんなさい。｢混沌｣でした!! (2019年7月13日 21時) (レス) id: 3bc0209618 (このIDを非表示/違反報告)
しか - ｢悩み｣の話の｢敬人｣が｢敬斗｣になってますよ（コソッ面白かったです。これからも頑張ってください！ (2019年7月13日 20時) (レス) id: 3bc0209618 (このIDを非表示/違反報告)
流離いのsecret(プロフ) - ありがとうございます！頑張ります！(語彙力ない)笑 (2019年6月24日 14時) (レス) id: 451ca50573 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - 面白いです(語彙力ない) (2019年6月23日 21時) (レス) id: 19c16fa711 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：流離いのsecret | 作成日時：2019年5月2日 14時
