本題 ページ28
「Rosen様が一番好きで！特に一度聴いたら忘れられないあの歌声が……」
熱心に語ってくれている。その間、僕は話を聞き相槌を打ちながら、他の事を考えていた。
── 清楚系のロングスカートも捨てがたいが、少し男の子っぽさを残したショートパンツなんてどうだろうか。それとも王道のパニエスカートか。
フリルを散らしたキャミソールに短いレース手袋で腕を出すのが似合いそうだ。
「はっ、私としたことが……相談に来たのでした」
司くんは喋り過ぎたというように、片手で口元を塞いだ。時間はまだ沢山あるから問題ない、だが彼は恐らく律儀な子だ。本題とずれた内容を一方的に話した事を反省しているのだろう。
彼については何の罪も無く、僕にとって寧ろ好感度の上がる行動である。
対して僕は、相手は相談をしに来たのに何て事を考えているんだ。あまりにも穢れている。
謝るべきはこちらなのに、胸のうちを明かさないで、
「ふふ、大丈夫だよ。司くんが楽しそうに話してたから、僕も嬉しくなってしまって」
平然と笑顔で嘘を吐く。
これだから大人という奴はたちが悪く罪深いね。
「す、すみません……。本題に入りますね。今回の相談というのは、先程話しました歌声に関する事なのですけど」
司くんはそこまで話して、机に置いていた手に視線を落とした。
「うん」
なるべく優しく、話を促す。
「その、私はKnightsというユニットに所属しているのですが、私以外に1年生はいないのです」
「おや、あとはみんな先輩なんだね」
「はい。私が一番年下なので、先輩達と比べ技術が足りないのは当たり前だと理解しているのですが、一度気になってしまうと、もう……」
なるほど、レベルの高い環境と自分の比較か。
どうやって緩和してあげようか。
「そっか、その技術の中でも歌唱力が最も気になるんだね。それなら、司くんの歌を一回聞いてみたいな」
聞いてみないとどう助言すれば良いのか分からないから、そう付け加えてKnightsの練習を覗かせてくれないかと頼んでみた。
「Rosen様に見られている中でしたら、緊張して上手く出来るかどうか……」
司くんは不安そうに目を泳がせた。
「大丈夫だよ。僕をライブの観客だと思って、ね？」
弱々しく握られた両手を包み込むようにして手を重ねた。落ち着いてもらうために。
でも何故だろう。
徐々に彼の顔に赤みが差していく。
ああ、もしかして、ライブの観客の方が緊張するのだろうか？
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流離いのsecret(プロフ) - ぎゃぁぁ本当だ……！ご指摘ありがとうございます！ 細かいところまで読んでいただき嬉しいばかりです笑 (今後気を付けます笑) (2019年7月13日 22時) (
レス) id: 451ca50573 (このIDを非表示/違反報告)
しか - ごめんなさい。｢混沌｣でした!! (2019年7月13日 21時) (レス) id: 3bc0209618 (このIDを非表示/違反報告)
しか - ｢悩み｣の話の｢敬人｣が｢敬斗｣になってますよ（コソッ面白かったです。これからも頑張ってください！ (2019年7月13日 20時) (レス) id: 3bc0209618 (このIDを非表示/違反報告)
流離いのsecret(プロフ) - ありがとうございます！頑張ります！(語彙力ない)笑 (2019年6月24日 14時) (レス) id: 451ca50573 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - 面白いです(語彙力ない) (2019年6月23日 21時) (レス) id: 19c16fa711 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：流離いのsecret | 作成日時：2019年5月2日 14時
