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こんなわけで、俺はとてつもなく忙しい。
そんな俺が、スタンプラリーを楽しんでいるお客さんが並んだ行列とは外れた場所に溜まった生徒の存在など気付くはずがなかった。
「A様に触れるな痴れ者がッ!!!」
「うるっせえんだけど。クラゲちゃん、早くこいつ黙らせてよ」
「俺はA様を見守るのに忙しい」
「使えねー……」
セベクにシルバー、そしてフロイドの3人が保健室の入口付近で中に入る素振りは見せずに立ち止まっていた。
正確に言えば、中に入ろうとするフロイドの両腕を『護衛』であるセベクとシルバーが捕らえて離さないのだ。
「クッ、あの者、A様にツーショットをねだるなど……羨ましい!!違う!!不敬だ!!」
「羨ましいなら撮ってもらえばいいじゃん。だからさぁ、そろそろ離せよ。ウゼえんだけど」
「………………。」
「無視かよ」
舌打ちをするフロイドだったが、Aがスタンプを押す際に髪を耳にかけるなんとも艶っぽい仕草を見て、その不機嫌さも影を潜める。
「あ〜黒エビちゃんマジ可愛いわ。もう無理」
フロイドは急くようにそう言うと、二人の強い拘束を振りほどいて走り出した。
「あっはは、黒エビちゃ〜ん!」
「っ……!待て!」
「ッA様〜!!お気をつけ下さい!!」
「んぇ?」
セベクの馬鹿デカい声が聞こえる。
俺は声がする方へ振り向くと、無駄に長い両腕を開き恐ろしいまでに鋭い歯を覗かせる上機嫌な巨体がこちらに向かってくるではないか。
「ッ……!」
フロイドの抱擁だってもう無感情で受け止められる程に慣れたものなのだが、いかんせん時期が時期なのと、列に並ぶ幼児をぶっ飛ばし(もしくは踏み潰し)そうなくらいの勢いの猪突猛進が俺の背筋を急速冷凍し、俺はマジフトのディスクが如く上に弾け飛んだ。
「避けないでよ黒エビちゃ……」
魔力でバサバサ飛ぶ俺を拗ねたような表情で睨んだと思いきや、俺の下腹部を見るなりまるで魔法にでもかかったかのように動かなくなった。
「フロイド?」
塊と化したフロイドに、流石に心配になって近付く。微かに空中で上下に揺れる俺をぼんやりと見つめたままだった。
「A様!ご無事です……か……」
ああ、セベク。それにシルバーも。
フロイドに何か魔法でもかけたのか、と聞こうとしたのに駆けつけた二人まで立ち止まって、魂が抜けてしまったかのように俺を見てくる。
何だよ、気味悪い。
まさか、ゴーストにとり憑かれた……とか?
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るる(プロフ) - 流離いのsecretさん» 覚えてて下さりありがとうございます!!楽しみにしてますね!更新頑張ってください…! (2020年11月3日 14時) (レス) id: 3b86cea146 (このIDを非表示/違反報告)
流離いのsecret(プロフ) - るるさん» るるさん、こんばんは!再度コメントありがとうございます! まだ書く予定なので、引き続きお楽しみ下さい! (2020年11月2日 20時) (レス) id: af1699faf6 (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - インキュバスのお話ありがとうございます!!とても癒されました笑 (2020年11月2日 8時) (レス) id: 3b86cea146 (このIDを非表示/違反報告)
流離いのsecret(プロフ) - 夜海さん» 申し訳ありませんが、投票は既に締め切らせていただきました…… ですが、コメントをしていただき、感謝でいっぱいです!3は得票しましたので、その衣装でも書きたいと思っています。今後の作品もお楽しみ下さい! (2020年10月24日 13時) (レス) id: af1699faf6 (このIDを非表示/違反報告)
夜海 - 3のインキュバスが良いと思います (2020年10月24日 10時) (レス) id: a3c70cbb44 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:流離いのsecret | 作者ホームページ:なし
作成日時:2020年9月5日 17時