同居人は有名人 6≪ﾆ/ﾐﾔｶｽﾞﾅﾘ≫ 完結 (ページ10)

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先輩side ページ10

また、Aの顔が曇る。
あの頃と同じ。
明日香のことを話そうとしたら、そんな顔をした。

だから、明日香のことは話さなかった。

『明日香とは順調に続いていくと思った。
　Aとあってることだって知ってて、
　でも後輩が悩んでるって言ったら納得してくれて。
　でも、きっと明日香は気づいてたんだな。』

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先輩回想

明『まだ、公園に行ってるの？』

『うん。』

明『そう。…その、その子の悩みって何かわかったの？』

そう言われて、またAが泣いてた顔を思い出す。

あの涙の意味も、今だにわからなくて。

そんなことを考えていたら、明日香は甘えるように抱きついてきた。

明『もういいや、その話。』

このときには、明日香のことがわからなくなっていた。

ただ、一緒にいた。

考えるのは、あの日泣いてたあの子のことなのに。

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次の日にはAと会って。

何にもない話をして。

ただ笑ってた。

Aが泣いていたことなんてなかったみたいに

二人で笑ってた。

それが、心地よかった。

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でも、考える。

Aの涙の意味を。

笑うA、泣いてたA。

いつも、笑っていてほしいと思った。

その時だ。

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ふいに気がつく。

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　俺、Aが好きなんだ。って。