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「ただいま」
「おかえりなさいっ」
鍵を回し扉を開けば、聞こえてくる可愛い声。
「ちゃんといい子にしてた?」
「…いい子もなにも、一歩も外に出てないです」
「そう、じゃあいい子だ」
口を尖らせる天使を抱き寄せれば、素直にすり寄る軽い身体。
あの夜から俺は慧くんを家に帰していない。
だってあのおっさんに家の場所までバレてるって言うからさ。そんなとこに帰すわけないじゃん。
それに、顔の傷があるからってバイトも大学も休ませて、俺の部屋にずっと置いている。
しばらく彼を抱きしめていると、おずおずと彼が口を開いた。
「っ、中島さん」
「ん?」
「あの人のこと、…大丈夫でしたか?」
あの人とはきっと、例の代議士のこと。今日話をつけてくるって言ったから、ずっと心配してたんだね。
でももう大丈夫、話はきっちりつけてきた。
「安心していいよ。写真は削除したし、あの人はもうきみの前には現れないから」
不安げな天使にキスすれば、泣き出しそうな声が俺を呼ぶ。
「中島さんっ、ほんとにありがとうございましたっ。それと、迷惑かけてごめんなさいっ」
迷惑なんかじゃないし、頼ってくれたのがむしろ嬉しいのに、この子はまるでわかってない。まあ、そんなところも可愛いけど。
「もう泣かないの。この話はおわり」
極めて明るい声で謝る慧くんの声を遮る。
「それより慧くん、そんな可愛い格好でお出迎えしてさ、襲われたいの?」
半分おどけて半分本気で、軽い身体を抱き上げリビングへ向かう。
「だって、服ないから。着ていいって言ったのは中島さんじゃないですかっ」
瞳を潤ませ恥ずかしがる慧くん。
「そうだけど、まさかパーカー1枚でお出迎えされるとは思わないじゃん」
「だって、ジャージは裾も長いしウエストもゆるゆるだから、」
確かに、俺のジャージじゃ細っこい慧くんにはサイズが合わないかも。
「んー、でもやっぱりえろすぎるから、今日はこのまま慧くんを食べるっ」
「え、でもっ」
「嫌?」
意地悪に言葉を返せば、涙目で首を振る可愛い天使。
「じゃあ、素直に言って」
「…おれのぜんぶ、奪ってくださいっ」
耳元で囁けば慧くんの甘い声が返ってきた。
ああ、帰したくない。この可愛い天使を永遠に俺の部屋から出したくない。
こんな気持ちになるのは初めてだった。
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こさこ(プロフ) - ぴあまいさん» それと、ついったーさんのことは教えていただきありがとうございます(><) 鍵垢様のリプライはみれないのですね…。ちょっといろいろ考えたいと思います!ありがとうございます(_ _) (2017年3月30日 15時) (レス) id: 4f9f600403 (このIDを非表示/違反報告)
こさこ(プロフ) - ぴあまいさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけてほんとに嬉しいです!わたくしもぴあまい様のお話いつも楽しませていただいてるので、応援しています! (2017年3月30日 15時) (レス) id: 4f9f600403 (このIDを非表示/違反報告)
ぴあまい(プロフ) - そして、リプライを見れないというツイートをお見かけしたのですが鍵垢からのリプライだとフォローしないと読めないんだとおもいます( ; ; )余計なお節介だったらすみません( ; ; )DMお送りすることが出来なくこちらで失礼します。これからも応援してます! (2017年3月30日 15時) (レス) id: 9bda90e388 (このIDを非表示/違反報告)
ぴあまい(プロフ) - 初めまして、ゆといの厨のため楽しみに読んでおりました!スピンオフも次回作も楽しみにしております!それと、Twitterの方フォローさせていただきました。よろしくお願いします! (2017年3月30日 15時) (レス) id: 9bda90e388 (このIDを非表示/違反報告)
こさこ(プロフ) - ぺこさん» コメントありがとうございます。わたくし以前にぺこ様のゆといのを拝読させていただいてたので、コメントいただけて感激です。これからも頑張りますっ! (2017年3月30日 15時) (レス) id: 4f9f600403 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こさこ | 作者ホームページ:http://ma-no homepage
作成日時:2017年3月22日 16時