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「そしたら教頭がさあ〜」
「あ、それ見てましたよ」
「爆笑だっただろ?」
「いや、もう、最高でした」
もうとっくに習慣化してしまった、伊野尾先生との週末の飲み会。
今日の朝八乙女先生と楽しげにじゃれていた彼は、なんだかご機嫌な様子。
「伊野尾先生、今日は楽しそうだね」
「んへへ、今日はいいことあったから」
「何があったんです?」
「ひみつ〜」
唇をむっと突き出して楽しそうに笑う理由は知ってたけど、
「残念」って言って笑えば、伊野尾先生もまた楽しそうに笑った。
そのまま楽しい時間が過ぎて、ぱくぱくとご飯を頬張る伊野尾先生を見れいたら俺まで幸せな気持ちになる。
ああ、やっぱり伊野尾先生は笑っていた方がいい。
どうにか伊野尾先生の恋が叶って、彼が幸せになればににのに。
ぼんやりとそんなことを思いながら目の前の伊野尾先生を見つめれば、目尻をほんのり染めた彼と目が合った。
ふにゃっと頬を緩めて彼が笑う。
そして何かを言おうとしたその瞬間、
「…ひかる……」
さっきまでやわらかだったその顔が一気に凍りついた。
そして聞こえたのは、
「あれ、いのちゃんと中島先生じゃん」
「奇遇ですね」
寄り添うように微笑み合う、八乙女先生と蒔田先生の声。
「え、あ、八乙女先生と、蒔田先生…、なんでここに?」
「普通に飲みにきたんだけどさ〜、なあ、俺らも混ぜてよ」
「いや、それは、」
「なんだよ〜?いいよね、いのちゃん」
どうしてこのタイミングでとか、なんで今日はこの店にしたんだろうって思ってももう遅い。
無邪気な八乙女先生の声が、酷く残酷に聞こえた。
「あー、うん、大丈夫」
そんな八乙女先生の声に、強ばる頬を隠しながら懸命に笑顔を作る伊野尾先生が言う。
でも、俺はわかってた。
伊野尾先生の心が悲鳴をあげていることを。
だから、
「あ!伊野尾先生、もうそろそろ映画始まっちゃう」
「…へ?」
思わず口から出たのは、全くの嘘。
でもどうしてもここから、伊野尾先生を連れ出したかったから。
「俺たち、今からオールナイトの映画に行く予定なんですよね。だから、今度またご一緒させてください!」
適当な言葉を並べて、伊野尾先生の腕を掴んで立ち上がる。
「じゃあ、お先に失礼します!」
「おー、じゃあまた今度な〜」
ぺこりと頭を下げた俺に、八乙女先生はなんの疑いもなく頷いた。
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こさこ(プロフ) - ヤクルトのパーティさん» コメントありがとうございます。そう言ってもらえてとても嬉しいです…っ(*´ー`*) (2018年2月25日 23時) (レス) id: 4f9f600403 (このIDを非表示/違反報告)
ヤクルトのパーティ - わずか14ページなのに、とても内容がしっかりしていて、読み応えがありました! (2018年2月23日 18時) (レス) id: e6b3878e0d (このIDを非表示/違反報告)
こさこ(プロフ) - ヨウコさん» ゆといのちゃんはちょっとしつこすぎるくらいかなあ……と…(笑)ベットの中でのことはまた今度書きます(*´ー`*)ちょっともうここ最近ゆといのみが強すぎてやばいです…… (2018年2月1日 21時) (レス) id: 4f9f600403 (このIDを非表示/違反報告)
ヨウコ(プロフ) - いやいやいや、割としつこかったゆうと…ちょっと長丁場すぎー?笑さすがにお若い!その辺是非詳しく…!(お変態発動)甘いゆといの最高です!金沢城も行きましょう!(ゆとぺに狂乱) (2018年1月28日 20時) (レス) id: 1ec0dcf065 (このIDを非表示/違反報告)
こさこ(プロフ) - ヨウコさん» やはり今回も甘々になってしまいました…(笑)よろこんでいただけて嬉しいです(*´ー`*)イケメンゆうとがだいすきです…(*´艸`*) (2018年1月26日 21時) (レス) id: 4f9f600403 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こさこ | 作者ホームページ:http://ma-no homepage
作成日時:2018年1月25日 18時