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桐山「…なぁ。」
『ん?』
桐山「明後日の夜お祭りあんの知ってる?」
『あっ、そうなん?』
今日は8月13日。
あー、そういえばお盆の最後の日の夜は夏祭りだった気がする。
毎年カレンダーに赤丸つけてた記憶がある。
『夏祭りなんて何年行ってへんかなぁー?行きたいなぁ…。』
桐山「ほんなら俺と行かへん?」
『えっ?』
うちが照史と夏祭り?
え、デートやん。
うちと照史が浴衣を着て並んで歩いている姿を想像して思わずニヤニヤしてしまう。
『でも今年もお好みやるんちゃうの?』
そう、照史の家はこの辺では有名な老舗のお好み焼き屋さんで、
毎年夏祭りの日は出店を出してみんなにお好み焼きとたこ焼きを振る舞っている。
それを照史も昔から手伝っていて、
朝から準備で忙しそうにしてたから夏祭りに誘う隙もなく。
うちは照史が汗をかきながらお好み焼きを作ってるのを暗い中遠くから見てるだけだった。
まぁそれだけで満足しとったから良かってんけどな。
すると照史は少し嬉しそうな顔をして
桐山「事情話したら今年は手伝わんくてええって!!」
と言った。
事情とは?ってちょっと気になったけど、
いや、聞かないほうが身のためだと思って出かけた言葉を飲み込んだ。
『そっかー。じゃあ今年は一緒に行けるんやね!!』
桐山「おん!!あー、今から楽しみやなぁ!」
そして少年のようなキラキラした目でこっちを見つめてくる照史は、
心なしかいつもより可愛く見えた。
いや、八の字眉で童顔な照史は元から可愛い顔立ちなんやけど、
今はなぜかいつもに増して可愛く見えた。
あー、可愛い。
…うち今何回可愛いって思ったんやろ。
はぁぁ、でも照史には好きな人が居んねんもんなぁ…。
多分今回も、「好きな人と夏祭り行きたい!!」ってお願いして手伝わなくてよくなったけど、
結局断られたから仕方なくうちと行くって感じなんやろな。
さっきの「楽しみ」っていうのも多分、
うちがそういうこと言ってくれないと拗ねるっていうの知ってるから
お世辞で言ってくれたんやろうし。
そう思うとなんだか切なくなったけど、
これを照史との最後の思い出、思いっきり楽しもうと心に決めた。
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作者名:あんず | 作成日時:2020年11月23日 12時