寝ても覚めても。２ (ページ11)

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乾くんの優しい手がわたしの頭をそっと支えてる

泣いていたけど
驚いて涙は引っ込んで

どうしよう、この状況

そう思ってるまま、すごーく長く時間がすぎてく
長く感じる、どうすれば、って脳みそがぐるぐる

乾くんは、なにも、言わない

ふ、って頭から手が離れて
ほっとしておでこを離したら

乾くんが、椅子に座ったわたしと目線を合わせるようにしゃがんだ

「……わ、」
乾「……」
「…乾くん？ごめんね、わたし…」
乾「Aちゃん」
「……」

乾くんと同じ目線になるのは初めて
綺麗な瞳だなぁって、見つめられて気づいた

すごく真剣な、瞳にとまどう

乾「俺、ずっと好きなんだ」

乾「いつも笑って、元気で、がんばってるAちゃんが」

ゆっくり、乾くんが言葉を紡ぐ

まっすぐに私を見つめて

乾「…こうやって、一人で泣いちゃうくらい、何かをがんばってること」

「……」

乾「俺、全然知らなくて」

ふぅ、って乾くんが震えた息をつく

少しだけ眉間にしわを寄せて
切ない表情で、ゆっくりと瞬きした

乾「もっと知りたいんだ」

「……」

乾「俺が、一番、知ってたい」

「……」

乾「……付き合ってほしいんだ」

乾くんの瞳に、真剣に見つめられて
まるで金縛りにあったみたいに、言葉が出ない

なにも言えない私に、乾くんは、少しだけ、笑った

最後に、ぎゅって、強く、手を握られて。

乾くんが立ち上がった

乾「俺、部活戻んなきゃ」

「…あ、」

乾「……」

名残惜しそうに、笑った

乾「返事、ゆっくりでいいから。待ってる」

夕焼けで赤く染まった教室から出て行く乾くんの背中を
なにも言えず、じっと見送った

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