36.溢れる愛を ページ41
…あれからどれだけの時間が経ったのだろう。
絶え間なく流れていた涙は、気づけば枯れていた。
自分がどうしたいかが分からない。
何も考える気になれない。
風が吹いて、冷えた身体を更に震わせる。
冷え切った身体を自分の腕であたため、そのまま膝に顔を埋める。
「……」
もう、彼を好きにはなれない。
愛してはいけない…いけないんだ…。
そっと、目の前に見える全てを拒絶するかのように目を閉じようとした。
…パサリと、乾いた音。
そっと肩に何かが掛けられたとともに、急にあたたかいものに包まれる。
懐かしい香りがして、顔を上げると────
「んっ……!」
枯れた唇に、あたたかい感触。
まるでそれは、この世界の全ての時間が止まったかのようだった。
私にとってそれが、とても長く感じた。
枯れたはずの涙が、再び溢れてくる。
涙で滲んだ視界からでも分かった。
私を抱きしめてくれているのは、赤い赤い髪の…私の……。
止まらない。
涙と共に、溢れるこの気持ち。
名前を呼ばれる。いつもの声で。
胸の中で回り続ける。
好き…だけどそれが、一生叶わないと知ってしまった。絶対に報われないと…。
好きになってはいけないと分かっていても……
でも。
それでも好きなの…。
─────おにいちゃん。
「好き…好き……なの…」
無意識ではなかった。涙を流しながら、つっかえながら貴方に────
「京華…」
さっきよりも強く抱きしめられる。
「兄妹だろうが、俺は京華が好き」
─────付き合ってください。
その瞬間、プツンと何かが切れた。
答えは決まっていた。
「はい…」
先輩。いや、おにいちゃん。
やっと届いたこの願い。
今までどれだけ苦しみ、どれだけ待ち望んできたものか。
もう二度と、離れたくない。
嬉しさや照れくささ。
いろいろなものなものが混ざり合って、よく分からなくなる。
彼の背中に回した腕に少しだけ力を入れる。
涙に濡れた頬を拭うことのなく。
私は、事実を知ってから初めての笑顔を浮かべた。
彼は嬉しそうに目を細めた。
夜空には月明かりが、再び結ばれた兄妹を照らしていた。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキーナンバー
8
ラッキーアルファベット
X
ラッキー方角
西 - この方角に福があるはずです
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした!
109人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
希望(プロフ) - アメジストさん» ありがとうございます<(_ _)> (2017年1月3日 17時) (レス) id: 81354004c7 (このIDを非表示/違反報告)
アメジスト - てかものすごい絵上手ですね (2017年1月3日 16時) (レス) id: 36e88b3d43 (このIDを非表示/違反報告)
希望(プロフ) - アメジストさん» イケメンにし過ぎました(笑) (2017年1月1日 23時) (レス) id: 81354004c7 (このIDを非表示/違反報告)
アメジスト - 白河メチャイケメンで泣けるww (2017年1月1日 22時) (レス) id: 36e88b3d43 (このIDを非表示/違反報告)
希望(プロフ) - はい。この小説を作った後にトーカちゃんの事を知ったので、物語の中盤で髪型を変えさせて頂きました。私のミスです!今後このような事が起こらないように気をつけます(><) (2015年7月13日 21時) (レス) id: b0e2c90b13 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ