君は僕に似ている【白河勝之】

10.告白？ ページ11

「相変わらず日奏ちゃんは声がでかいね」


「子供だからな」


「うるさい…」





柊先輩のマシンガントークが響く。彼氏欲しいとか何とか言っている。




煩いと言うと、何故か突然にも「家出する」と言い出した。
突然の事に理解出来ず、ついていけない私達を気にもせず、柊先輩は出ていった。


改めて思うが、柊先輩は嵐のようだ。


柊先輩のいない夜は、何だかいつもより静かで違和感がある。





「でさーカルロス！告白しないの？？」

「ゔぁ？！」





成宮先輩がいきなりカミングアウトをし出し、
流れで作戦会議をする事となった。

その名も、「日奏ちゃんに告白しよう作戦」




話し合う事47分。
作戦の内容としては、明日青道に迎えに行く際にストレート告白といった感じらしい。





「普通じゃねえかよ」


「47分もかけてこれですか」


「無駄な時間を使ったな」


「いいの！それよりシミュレーションしようよ！！」







成宮先輩の考える事も理解出来ない。



私と白河先輩で、シミュレーションを再現してみよう！と言い出した有様だ。
そこはカルロス先輩本人を起用すれば良いものを…と思ったが、あえて口を瞑いでおいた。




「カルロスは見てて！」

「…おぉ」






しかしこのシミュレーションは、完全に意味のないものだった。

というのも、私も白河先輩も気乗りしなかったからだ。





「日奏の事が好きです。付き合ってください」


「…こちらこそ」




明瞭な程の棒読み加減に、成宮先輩は喝を入れる。





「だーめ！もっと気持ちを込めて！！」


「嫌だ」


「もうやりたくないです」


「…これ、やる意味なくね？」





結局このシミュレーションは、何の意味もなさずに終わってしまった。


次の日。



朝早くから、青道まで駆り出されるカルロス先輩を見送った。
他愛のないエールを送って、本人からの報告を待った。


その後、カルロス先輩は微妙な顔で帰ってきた。

告白はしたけれども、どうやら空回りで終わってしまったらしい。



「あたしも好きだよー」と、爆笑しながら言われたらしい。




友達として、だと思う。きっと。
柊先輩は結構鈍感だから。





「随分あっけらかんと。カルロかわいそ〜」


「カルロスはタイプじゃないんだな」


「もう何もないわ…」


「…どんまいです」






柊先輩は強者。改めてそう感じた1日だった。

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