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智side
仕事を終えて、二階へと階段を上っていると、上ってる時点でもう咳が聞こえてくる。
「けほ!けほっけほっ!んっ、けほっ!」
入院…か。
どうしたってさせなきゃならない。体が危ない。
ただ、翔ちゃんの精神的な面でいうと仕事をさせてあげたい…。
ただそんな無理…叶わないか…
「翔ちゃん…」
静かに翔ちゃんの仕事部屋のドアを開けると、パソコンデスクで背中を丸め、胸を押さえる翔ちゃんが座っていた。
「な…っ、けほっ!に…?ん、けほっけほっ!」
翔ちゃんの隣に行って背中をさすると、生理的な涙で潤んだ目をこちらに向けてきた。
きっと…おいらが何を言おうとしているか分かっている目だった。
「病院…行ってほしい…」
「さと…けほっ!嫌だよ…っ、けほっけほっ…」
声が震えているのがわかった。
学生時代、体調のせいで色々制されたことがあるのは翔ちゃんから聞いていた。
だから、あまり気を使われるのも心配されるのも好きじゃないのも知っている。
体調を言い訳にするのが嫌いで、普通の人と同じようにしたいのも…出来ることをしちゃダメと他人に言われるのが嫌いなのも…知っている。
「ごめんね…翔ちゃん…」
ギュッと翔ちゃんを抱きしめると、咳混じりの息苦しそうな嗚咽が耳元で聞こえる。
「でも…おいら…心配で…」
「んっ…けほっけほっ!はぁっ!謝ら…ないで…けほっ!」
こんな時でも君は気を使うんだね…。
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櫻弓 想(プロフ) - ヒロさん» リクエストありがとうございます。ヒロ様のアイデアを使わせていただきます(^^)。本編より更新頻度は少ないと思われますが、一応同時進行という形で書いていきます。 (2018年4月4日 3時) (レス) id: 6f25ef5bcc (このIDを非表示/違反報告)
ヒロ - いつも読ませてもらってます。サイドストーリーのリクエストいいですか?高校時代のいじめの様子を読みたいです。よろしくお願いします。 (2018年3月22日 7時) (レス) id: 701a471d6c (このIDを非表示/違反報告)
櫻弓 想(プロフ) - しょうこさん» しょうこ様!リクエストありがとうございました!書いてる私も楽しめて…今後の話に繋げる鍵ともなる話になり…とても良いアイデア頂けました(^ ^)またリクエストお待ちしておりますね! (2018年3月3日 10時) (レス) id: 6f25ef5bcc (このIDを非表示/違反報告)
しょうこ(プロフ) - こんにちは。最新のお話をリクした者です。想さんの文章に引き込まれ、不謹慎にもキュンキュンしてしまいました(笑)素敵なお話をありがとうございました!これからもひっそり楽しみにしております(´∇`) (2018年3月2日 16時) (レス) id: ab87edd7be (このIDを非表示/違反報告)
櫻弓 想(プロフ) - あおいさん» リクエストありがとうございます。更新までしばらくお待ちください。 (2018年2月22日 22時) (レス) id: 6f25ef5bcc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:櫻弓 想 | 作成日時:2017年12月5日 22時