Youth of Me ～みんなが私を強くした～ (ページ7)

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RV「ジウォナ、入るぞ」

妹とはいえ女の子だノックは欠かさない。だが返事が無かったので出掛けているのかと思い、確認のために部屋を覗いていくことにした。

…でも今じゃ、そんなことしなきゃ良かったって時々考える。

RV「…ジウォ…ナ…？」

まず最初に思ったのは、部屋中の強烈な異臭。臭いなんてもんじゃないその臭いが扉を開いた瞬間俺を覆った。
そしてこの異臭の大本であろう糞尿の上に地に着いてない人の足と

……天井から首を吊るしぶら下がったジウォンがいた

RV「ジウォン！ジウォナ！！！」

その時俺は逃げた。その現実から目を背けた。
もう居る筈ないジウォンを永遠探した気がした。

RV「ジウォナどこだ………頼む…頼むから……

……俺を独りにしないでくれ」

涙ながらにそう請うことしか俺には出来なかった…
その後母親は蒸発。俺は孤児院へと連れていかれろくに人と関わらないバイトと住む場所が変わり転校した学校と帰っても家族なんて居ない孤児院のどこにいても、俺は独りだった。

そんな３年になったばかりの春。

RV「……」

授業をさぼり自分で作った曲を屋上で流し聴く。作曲は親父の仕事だった。だから俺もそれに感化されてずっと曲を作り続けてる…それしか生き甲斐が無くて。

「いい曲だね」
RV「！」

そしたら見知らぬ女子生徒が俺にそう言った。

RV「……ども」

正直褒められたことなんてなかったし褒めて欲しくてもそんな人間どこにも居なかったわけで。だからどう反応していいか、その頃の俺は困ることしか出来ずにいたんだ。

「あたしA、あなたは？」

なんでそんなことを聞くのか、やはり困ることしか出来ない。

RV「………キムウォンシク」

そして人と真面に話したのなんてもうどれくらいぶりだろうかと思っていたら、

「ウォンシクね、よろしく」

強風とともにこれですべて散ってしまうんじゃないかと思うほどの桜の花びらが、風で乱れた髪を掻き上げるAの背景を飾っていてそれはすごく美しいものだった。

RV「…っ」

曲を褒められたことせいなのか、人と久々に話せたことせいなのか、やはり彼女のせいなのか。

RV「っ………よろしく！」

この時曲と一緒にぼたぼたと流れた涙粒の意味を、俺は今も知らない。

「ウォンシクー！」
RV「…きたきた」

彼が春の陽気に場所取りでうとうととしていると聞き慣れたAの声が、

やはりウォンシクには心地良い。