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「待てー!」
『転ばないようにねー』
「はーい!」
走ったら私に怒られる事を覚えたのか、早歩きで追いかけっこをする妹たちに一言注意をして湯船に浸かる。はぇぇ、なんて気の抜けた声が漏れた。
くすくすと隣のエマが控えめに笑った。
『どうかした?』
「ううん、ただ、Aがお姉さんしてるなぁって」
『何それ』
可笑しな事を言うエマに思わずこちらまで笑ってしまう。お姉さんしてるって、動詞よ。
ふと目の前をすいーっと平泳ぎして通った子の首のナンバーが目に留まった。思わず自分の首に手を添え、何も書かれていない肌を撫でる。
ナンバーも何もない、ママも耳の発信機を確認する素振りを見せない。
それは私が食用ではない事を示していた。
「……A?」
『うん?なぁに、エマ』
「また怖い顔してたよ、何か、考え事?」
『いいや、ただ眠いなぁって』
自分の身が保障されていると分かって安堵してしまう私が嫌いだ。
あの日から耳の奥にこべりついて離れない忌々しい言葉は思い出しなくないのに、ああ、今日はもう疲れたな。
腰を上げればエマも立ち上がる。
『もういいの?』
「うん!Aのお世話もあるからね!」
『ちょお、世話って』
最近私の保護者?世話役?になりつつあるエマの転び掛けた体を支えた。
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ベル(プロフ) - あー!好きです!!!!!!!!!更新待ってます!!! (2022年7月17日 2時) (レス) @page18 id: cae9acff5d (このIDを非表示/違反報告)
凛香奈 - 更新待ってます! (2021年1月15日 18時) (レス) id: 11436a7db0 (このIDを非表示/違反報告)
Lonely(プロフ) - スターフォロワーさん» 閲覧、コメントありがとうございます。まだ未熟者ではありますがそう言っていただけて嬉しいです。これからも期待に応えられるようなお話が書けるように頑張ります!(イザベラの小説拝読しました…すこ…) (2019年7月18日 15時) (レス) id: 81db539243 (このIDを非表示/違反報告)
スターフォロワー(プロフ) - 圧倒的な語彙力に押し潰されそうになります。というか押し潰されました。とても素晴らしい作品で、色々と凄かったです。続きをるんるん気分で待ってます! (2019年7月6日 22時) (レス) id: 8493ee3401 (このIDを非表示/違反報告)
Lonely(プロフ) - 白桜姫さん» コメント、閲覧ありがとうございます。楽しみを潰すような真似をしてしまい申し訳ありません。期待に応えられる事ができるお話を書けるように頑張ります。 (2019年7月6日 19時) (レス) id: 81db539243 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:lonely | 作成日時:2019年3月12日 18時