イロイロ短編集♪6（リク消化最優先！） (ページ42)

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SERVAMP２ページ42

「へえ、どっか行ってくれるんだ」

あの後、夢隠しの犯人はここら一帯から出ていくことを約束した

妙に疲れた身体を引きずるようにして椿の元に戻り、報告を終える

椿は素直なお化けだねぇ、と感想を漏らした

「そういえば、あいつ、椿さんのこと知ってたみたいですよ」

「―――は?」

もういいよ、と追い払われるようにして部屋から出ていく直前、桜哉は思い出した

あれは椿のことを「８番目」と言っていた

誰も知らないはずの「８番目」だと

「…それ、本当?」

「本当です。あと、ここから出ていく理由が、椿さんが面倒くさいから関わりたくないから、らしいです」

「ちょっと待って。なんか酷い言われようじゃない!?」

思わず椅子から立ち上がり、桜哉につのる

いや、知りませんし、とあきれながら返せば、ため息が返ってきた

ふざけんなよ

「僕のことを知ってる…。C３? でも、ここから出ていくって言ってたし…。一体誰だ?」

「椿さんは知らないんですか」

尋ねれば、椿はしばらく考え込んだ後、ゆるゆると首を横に振った

思い当たる節は、どうやらないらしい

これ以上自分がここにいても、何もできないだろう

そう判断した桜哉は、失礼します、と礼を告げて部屋を後にした

＊

「僕は知らない。けど君は僕を知っている…」

１人残された椿は、考えに耽る

夢隠し

血を抜かれた被害者

幸せな顔

甘い夢

そんな噂を集めても、椿の頭に該当する人物など思い当たらない

「―――ああ、もう」

髪をぐしゃりと掴み、肩をおろす

もう別にいいか、と椿は思考を停止させた

桜哉の話では、ここからは出ていくと言っていた

ならもう関わらないだろう

もし、先生に繋がる誰かなら―――

「―――いや、そんなわけないか」

ああ、でも

相手は自分のことを知っているのに、自分は相手のことを知らない

なんて

まるで

「―――僕と、同じじゃないか」

ぽつりと、悲しい響きの呟きが落ちた