苦くて苦しいビターチョコ【shp】 (ページ3)

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彼と私の家は隣で、目と鼻の先だった。

通園も通学も一緒だった。

彼が私に合わせて歩いてくれていることが嬉しくて嬉しくて仕方が無かった。

彼とのお話は何時も楽しくて、大好きだった。

自分の先輩の失敗談や、友達は笑い話。

どんな話題でも面白くしてしまう彼。

それとは反対に、

何か面白い言い方が出来る訳で無ければ、面白い話題も無い私。

何処かに劣等感を感じていたのは確かだった。

でも、それに気づきたくは無かったんだと思う。

いつも彼と一緒に居て、いつも彼と話して、いつも彼を話題にする。

彼と居る事が、私のアイデンティティになってしまって居たのかもしれない。

彼が隣に居なくなった今。

私の周りには人が居なくなった。

彼が居るから私に近付く。

彼の事が知りたいから私と友達になる。

彼の事が好きだから気に掛けて貰おうと私を使う。

気持ちは分かる。

でもさ。

同じ想いを抱いているのに、私だけ考えて貰えないのは酷くない？

彼が隣に居なくなった今、貴方達まで遠くに行くの。

私は靴箱から靴を取り出し、地面に置いた。

彼と歩いた道も、彼が居なければ茨の様に辛い道だ。

ふと、後ろから走って来る足音が聞こえた。

＿＿＿＿少しは期待しても良いよね。

愛の値を求めなさい。