293・眠れぬ夜 ページ43
A「疲れてる所
ごめんね。
どうしても聞きたい事あったの」
直「いいよ。よく起きてたね。
眠り姫って翔君笑ってたよ」
伏し目がちに口端だけで笑う A。
そして大きく澄んだ瞳に
深い悲しみを宿しながら
真っ直ぐ俺を見続ける。
直「……ごめん……A」
みるみる Aの大きな瞳が
キラキラ輝きだす。
悲しみの涙が溢れ出したから……。
A「デビュー……なの？翔君……」
答えられず目をそらしてしまう。
A「どうして……こんなやり方
……酷い」
直「……」
A「２人の意志を無視して
２人の人生なのよ？……酷すぎる！」
飛び出して部屋に戻って行った。
立ち尽くす俺の所に慌てて下から
良子さんが駆け上がって来る。
A母「何事？Aの声……」
泣きそうな俺を見た良子さんは
黙って部屋を後にした。
Aが俺に
あんな目を向けたのは初めてだ。
怒り 悲しみ 軽蔑……とても表現
しきれない程の思いを俺にぶつけた。
……こうなるってわかってたのに
俺は……。
……わかってる。
直兄が悪いんじゃない。
でも……。
床に座り込んだ途端に嗚咽をあげ
大声で泣き出してしまう。
あまりにも怒りと悲しみが大き過ぎて
あたしの小さくなった心では
抑えきれない。
すぐにお母さんが飛び込んで来る。
A母「A？！
どうしたの？何があったの？」
他の事なんて何も考えられず
ただ泣きたいだけ
無我夢中で泣き続けた。
そんなあたしを必死で抱きしめ
背中をさすり続けるお母さん……。
ごめんね……
今は思い切り泣かせて……。
多分……翔君も知ってしまったのね。
……今頃 きっと翔君も眠れぬ夜を
過ごしているよね……？
……会いたい
今すぐ翔君に会いたい。
A「翔君……翔……」
……今 会っても ふたり抱き合って
泣き続けるしか出来ないだろうけど
それでもいい。
この荒れ狂う悲しみの中でも
ひとりよりふたりがいい。
どんな時も翔君とふたりなら……
きっとどんなに小さくても希望の光を
感じられる。
そう信じていたいから……。
ほんのり東の空に光が現れ始める。
足音をたてないよう細心の注意を払い
玄関のドアを開ける。
まだ涼しい早朝の空気を吸い込み
人気のない公園へと向かった。
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- 恋愛運: ★★★☆☆
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りん(プロフ) - かおるんさん» いつもありがとうございます★私自身も早く甘いふたりを書きたかったです＊ (2014年1月14日 21時) (
レス) id: dad6bd0f93 (このIDを非表示/違反報告)
かおるん(プロフ) - めちゃ嬉しいです。ふたりに戻れてよかった。更新楽しみにしてます。 (2014年1月12日 17時) (レス) id: eeafce828e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りん
| 作成日時：2013年10月24日 21時
