涙 ページ21
「なんだか、朝からお騒がせして
すみませんでした。」
深々と頭を下げたAにニノが
「あれ？帰るの？」
って聞いてる。
「何もないんなら、もう少し一緒にいようよ」
なんて、普通に言ってる。
「けど、あんまりいても、ねぇ？」
ってオレのことを覗くから
『あ、オレは全然いいよ！』
なんて答えちゃった。
「潤くんもそう言ってくれてるしいいじゃん。」
「松本さん…優し過ぎやしませんか…
ニノはすぐに自分ちみたいに調子のりますよ？」
『ニノのこと、詳しいんだね？』
「え？そうですか？
でも、松本さんもお知り合いだったら
どんな人かご存知ですよね？」
『そのつもりだったけど、
ホントはあんまり知らなかったみたい。』
…自分でも嫌な言い方してるって、わかってるよ。
でもさ、このやるせない気持ちを
どこにどう、ぶつけたらいいのか…
『Aはニノのこと、どう思ってるの？』
「どう？難しいですね…
大好きですし、すごくたくさん助けてもらって
感謝もしてます。
ニノがいなかったら、今のあたしはいません。
だから、大切な人…ですかね…」
『…じゃあ、付き合うの？』
オレがそう聞くと、
急にポロポロと涙をこぼした。
それを見たニノが
「…潤くん、やめてあげて。
A、泣いてる。」
って、オレのことをたしなめた。
けどそんなの、今のオレには聞こえない。
好きなら…
そんなに大切なら、付き合えばいいじゃん。
何だよ…ホントはオレのこと、
可哀想とか思ってんの？
『そんなつもりで聞いたんじゃないよ。
でも、なんで泣くの…？』
「潤くん！！」
「あは…泣いてますか？
勝手に涙が…なんでかな…笑
やっぱり、あたし失礼します。」
「A！！」
部屋を飛び出したAをニノが呼び止める。
「お前、どういうつもり？
オレが気に入らないんなら、オレに言えよ！！」
『……ごめん。
ニノは何も悪くない。
オレの気持ちが…追いついてないだけ…』
A…
オレの方が泣きたいよ…
こんな風に感じてるなんて、
夢にも思ってないのかな…
いい年して、苦しくてツライ…
こんな恋、したくない…
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作者名：2530 | 作成日時：2016年9月25日 14時
