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Mside
「じゃあ、何で聞いたの？」
「そこ掘るのー。そんなの、ただの思いつきだよー。」
ヘラヘラして誤魔化している。
俺は翔さんの真意が知りたいのに。
貴方は何か考えて聞いているんだ。
なのに、俺はそれ以上、何も言えなくなる。
「あっそ、つまんねーの。」
しかも、酷い言葉を添えてしまう。
翔さんに当たっても何にも意味が無いのに。
「潤、拗ねないで。ほら、自分の作ったの、試食してみてー。あーん。」
「あーんとか、ふざけんな。子ども扱いはいい加減にしてくれ。」
「んぁぁ、潤に怒られたー。怒らせるつもりとか毛頭ないのにぃぃ！」
「翔さんが変な事するからだろ？」
「そ、そのぉ…良かれと思って…。」
俺が翔さんに「あーん」されて喜ぶと思ってんのか？どんな発想だよ。
あんたの思考回路はどうなってんだよ。
「チッ、あーもう、一緒に食えばいいんだろ？」
「そうそう、一緒に食べよ。こんな豪勢な料理、給料日前じゃないと食べられないのに…潤、思い切ったねー。奮発したねー。」
あんたに食べてもらって感想が聞きたかったからに決まってんだろ？
ずっと、一緒にご飯を食べてる仲だろ？
「でもさぁー潤に俺の胃袋、掴まれてるからーどんなご飯も美味しく感じちゃうんだよねー。」
「味覚音痴になんなよ。」
「俺、音痴かもしれないけどねー。これだけは分かるよー。潤の料理は美味しいって事はねー。」
「…んだそれ。」
俺を泣かせる気かこの人。
そんな評価、されると思ってなかったから。
「ダメだった？」
「ダメじゃない。むしろ…。」
「むしろ？」
恥ずかしくて言えねぇよ。
むしろ、嬉しいだなんて、照れ臭くて翔さんの前で言えねぇよ。
「何でもない。」
「んぁぁ、気になるぅー。潤、誤魔化したー。」
「良いじゃん。俺だけの秘密。」
「それ、都合いい言葉だねー。今度、誤魔化す時、俺も使おー。」
いつ誤魔化すんだよ。
翔さんは飽きないな。
いつの間にか、部屋に入って来ても気にならなくなって、むしろ、居るのが当たり前みたいになってるし、転がり込むのが上手いんだな。
「また、試食したいなー。俺、いつでも食べてあげるよー。」
「食べてあげるって…随分と上から目線だな、あんた。翔さんのくせに美食家気取りかー？」
「んふふ、くすぐったいー。ごめんごめーん、食べさせて下さーい、潤さまー。」
翔さんにくすぐりの刑。
そんなの言われなくても作るよ。
俺が、あんたに食べさせたいんだよ。
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作者名：山風無限 | 作成日時：2019年7月26日 1時
