空っぽを埋めるモノ５【RKRN】

If２【？？？エンド】 ページ44

嫌な予感がした。


虫の知らせとか、第六感とか、そんなものがはたらいたのだろう。



｢Aちゃん！ いる？｣



山本が忍装束で高坂Aの部屋を訪れたのはすでに夜が深けてからかなりしてから。相手が寝ているかもしれないというのは二の次にして彼女は部屋の戸を開けた。



いるならそれでいい。


眠りを妨げられたくらいで怒るような人でもない。


心のざわつきがそれで取れるならむしろ怒られてもいいとまで思っていた。





｢……っ！｣



しかし、山本の勘は冴えていた。



部屋には少女の姿はなく、布団すら敷かれていない。

あるのは少女がいつも着ていた紫色の忍装束と、学園の備品である机の上に一枚の手紙。


月明かりを頼りにそれを読むと彼女は急いで学園長の庵を訪ねた。



｢お休みのところ申し訳ございません。……彼女を、探しに行って参ります｣



この学園に在籍する以上、最高意思決定者は学園長の大川平次渦正だ。山本の独断で行動出来る事など無い。



それでも、彼女は動いた。


申請ではなく、決定事項として学園長に申し出た。





(着替えておいて良かった)




門に着くとかんぬきが壁に立てかけてあるのを見つけた。門を開けて外に出て、駄目元で地面を見る。高坂が向かった方角を探るためだ。



見たことの無い足跡が学園を出てすぐの森に続いてるのが微かにだが分かった。



道の分からない彼女なら真っ直ぐ適当に進んでいてもおかしくないと、それを頼りに山本もその道を真っ直ぐ進んだ。



道ではない所を進んでいる。
少女がどこかで進む方向を変えていても分からないような、草が生い茂っているところ。
山本は信じて進むしか無かった。





(お願い、間に合って)




高坂Aが見つかるのを。

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