記憶211 ページ22
部屋に戻ってから私は制服に着替えた。ここに来て目を覚ました日から初めて制服を着た。今までずっとズボンを履いていたため、久しぶりのスカートはなんだかスースーして落ち着かない。
くるりとその場で一回転すると、プリーツスカートはそのひだを可愛らしく広げて、まるでおとぎ話に出てくるお姫様になった気分になる。
(ドレスにはほど遠いけど)
チャックを外してスカートを下ろす。チャックが閉まらないなんてことは無く、自分の体型が変わっていなかったことに安堵していた。
制服を脱ぎ、再びいつもの忍者服に着替えた。……こちらの服の方が着ていて落ち着くというのもある意味問題なのかもしれない。
(外に出るには……)
まず、学園長に外出届を書いてもらわないといけない。それからそれを小松田さんに出せば大丈夫だったはず。
一人で外出するのに許可が降りるか心配だが、向こうもそこは察してくれるだろ。
そうなればまずは学園長に会わなくては。
たたみ終わった制服をスクールバッグの横に置き私は部屋を出た。
___________
「同行者は決まっておるのか?」
外出届が欲しいとお願いすると学園長は快く引き受けてくれ、すぐに紙に筆を走らせた。
私の心配は杞憂にはならず現実となった。
(隠しても意味ないよな)
学園長は私がどちらを選んでもいいと言ってくれた。この件に関して正直に話しても彼が邪魔してくることは無いだろう。
「帰ろうと思うんです、元の時代に。だからできれば一人がいいのですが」
学園長は重たそうな瞼を上げて目を見開いた。
「……そうか。なんだかんだお主はこちらを選ぶと思っとったんじゃがのう……。残念じゃ」
それで、いつ行くつもりじゃ、と筆に墨を染み込ませながら学園長は私に聞いた。
「今日の夜中に」
「これまた急じゃのう」
筆に付けた墨を硯を使って程よく落とし、慣れた手つきで私の言った日時を記入した。
墨がある程度乾くまで待ってからそれを三つ折りにし、真っ白な紙が折られて封筒型になっただけの物に入れる。
「ありがとうございます」
受け取ってお礼をする。
「達者でな」
学園長先生も、と微笑んで私は庵を出た。
555人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「忍たま」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しおむすび(プロフ) - 夜分遅くにすみません。少し昔に拝見したこの作品、またRKRNに加熱したので少し覗いて見たら、これがもうどハマりしてしまって…登場キャラの細かな心理描写、細部の設定などに心打たれました。これ以上のRKRN夢は存在しません!これからも頑張ってください! (3月23日 0時) (レス) @page50 id: 85b974bf49 (このIDを非表示/違反報告)
小学7年生(プロフ) - あみさん» あみ様、コメントありがとうございます!何年経っても色褪せない作品、それがnntm(RKRN)ですから…!もったいないお言葉、恐縮でございます。これからも良き夢ライフをお過ごしくださいませ! (2月3日 8時) (レス) id: 01b7521881 (このIDを非表示/違反報告)
あみ(プロフ) - 16で忍たまに加熱、22歳で再加熱した者です。処女作とは思えないくらいストーリーや伏線がきっちりしてて、とても素晴らしい作品でした!😭ひとまずは今回の長編執筆お疲れ様でした! (1月22日 16時) (レス) id: 4a1c0578e6 (このIDを非表示/違反報告)
小学7年生(プロフ) - riemoa0323さん» riemoa0323様、コメントありがとうございます!お返事が遅くなりすみませんでした。そう言っていただけてなによりです。こちらこそ、閲覧いただきありがとうございました! (11月26日 22時) (レス) id: 01b7521881 (このIDを非表示/違反報告)
小学7年生(プロフ) - たけのこさん» たけのこ様、コメントありがとうございます!お返事が遅くなりすみませんでした。そう言っていただけてなによりです。こちらこそ、閲覧いただきありがとうございました! (11月26日 22時) (レス) id: 01b7521881 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:小学7年生 | 作成日時:2020年3月5日 14時