２２３話 ページ28
四○度のお湯が肌を温めていく。
さらさらと柔らかく当たっては落ちていく水の行方を、ただぼうっと見送っている。
うつらうつらとしてきて、このままではまずいと思ったのか、両の目頭を右手の親指と人差し指でぐっと押すように揉んだ。
そのまま顔を上げると、目の前の自分と目が合った。
鏡の中のAは、左目の下に小さな切り傷の痕を作っている。
復讐者の攻撃がどんなに強かろうと、ボスウォッチの大きさとAとの距離を考えれば、破片が当たるなんて考えられなかった。
あの時、何が覚悟になったのかはA自身覚えていない。
何も考えてなどいなかったのに、咄嗟に何かが
沢田奈々に攻撃をしかけることで、それを家光がかばって大怪我を負うのならそれはそれ。
そうせずとも沢田奈々を狙うことで相手の動揺を誘えるのだから、どちらに転んでもこちらの勝利への足がかりになる一手だった。
それをAは、納得していたはずだった。
だから言ったのだ。
なるほど、と。
「どうして、わたしは」
彼らを、助けてしまったのだろうか。
時間停止は完璧な技ではない。
A以外のすべてが限りなく停止に近い動きになるあれは、いわば諸刃の刃。
A以外のすべて。
それは空気などにも当てはまることだった。
動きを止めた空気はもちろん吸うことなどできない。
時間を止めた時、それは自ら息を止め、何秒耐えられるかというお遊びではなかった。
感覚的には、今から肺を潰すけれどどれくらい平気でいられるか。
肺を潰す時の痛みはないから安心して。
体験したことはないが、そういう説明の方が近い気がしていた。
さらにいえば、雪の炎を使用している間はAの体温がみるみるうちに下がっていってしまう。
留まることを知らないそれは、わずか数秒で重度の低体温症に陥り、命の危機にすら繋がるかもしれなかった。
そんな危険を冒してまで、彼女は雪の炎を使い、未来で高坂Aが沢田綱吉から貰った匣を開匣した。
あの銃は雪の炎を注ぐことで、弾の当たった相手を動けなくすることができた。
血に怯えたわけではない。
同情したわけでもない。
まして、バミューダを裏切ろうとしたわけでもない。
答えの出ないまま鏡に伸びた手が触れたのは白い脇腹だった。
そろそろ日付けが変わる時間だろうか。
また眠くなってきて考えるのを止めた頃、浴室の外からバトル開始一分前を告げる警報が鳴り響いた。
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小学７年生(プロフ) - 藍茶さん» 藍茶様、コメントありがとうございます。並びに返信が遅れて申し訳ございません。一気読み！？！？！？！？こんな長い話をですか！？！？ありがとうございます！気ままに更新してアフターストーリーまでいけるよう頑張りますのでぜひお付き合いください！ (2023年4月23日 23時) (
レス) id: 01b7521881 (このIDを非表示/違反報告)
藍茶(プロフ) - コメ失礼します。めちゃくちゃおもしろくて一気読みしてしまいました……！お忙しいとは思いますが、更新を気長に待ってます🥺✨ (2023年4月15日 23時) (レス) id: 6dc077f6ee (このIDを非表示/違反報告)
小学７年生(プロフ) - ステッカーさん» ステッカー様、コメントありがとうございます。は、ははははは初めて読んだってことはつまり雪のあれやこれやがぐっちゃぐちゃの今の状態を読まれたわけですよね……。非常に申し訳ないです。それでもコメントしてくださって……励みになります！ありがとうございます！ (2022年11月14日 0時) (レス) id: 01b7521881 (このIDを非表示/違反報告)
ステッカー(プロフ) - 初めましてコメント失礼します。初めて読ませていただきました 物語が進むにつれてどうなるのか、と更新されるのを楽しみに待っていました。更新頑張ってください！応援しています (2022年11月13日 12時) (レス) @page29 id: b18adaf805 (このIDを非表示/違反報告)
小学7年生(プロフ) - ひいろさん» ひいろ様、コメントありがとうございます！そう言っていただけて光栄です。最近ではTwitterの方でも創作が増えてきて私もとっても嬉しいです！拙い文で更新も遅く申し訳ないです……。それでも微力ながら、リボーンの二次創作を潤せるように頑張ります！ (2021年9月7日 18時) (レス) id: 4d32c86c6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小学7年生 | 作成日時：2021年1月10日 16時
