猫なで声に油断ならぬ。*M.A* (ページ33)

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「俺が好きって言ったこと、信じてくれてないんでしょ？」

「・・・」

「答えないってことは、yesってことだよね？」

足元で音がする。ちょっとだけ視線を落としたら猫のドアストッパーが挟まってた。

「きちんと話すから。俺のこと信じてくれるなら、もう一度好きって言わせて？」

雅紀くんは苦笑いして深々と頭を下げた。ふわりと香った彼の香水が、こんなに切なく感じるなんて・・信じられなくてもやっぱり雅紀くんを嫌いになれないんだろうな。

「嘘ついたら只じゃおかないからね。」

「フフ(笑)・・はい。」

玄関の扉は閉めないまま、私がいつ嫌気がさして逃げたくなってもいいようにしてくれてる。
彼の背中を追いかけてリビングに入ると、その広さと家具の少なさに驚いた。

「座って？」ソファにゆっくり腰を降ろす。対面キッチンから「今コーヒー淹れるね」彼の声がする。小さなテーブルも、彼が持ってきたマグカップも、この部屋とは不釣り合いなほど庶民的。コンビニの景品、だよね？

「この部屋、社長に間借りさせて貰ってんの。」

「間借り？社長？」

私の隣に座ると思ってた雅紀くんは、私と向かい合う位置に座った。ラグの上だから少し目線が下がる。なんだろ？申し訳なく感じながら彼が話すのを待った。

コーヒーを一口飲んで正座をした雅紀くんが、小さく息を吸って話し始めた。

「遊んできた俺と決別しようって決めたんだ。Aさんのために。俺、Aさんのためなら何でもできるし、我慢できる。本気なんだってわかってもらえるなら、何度だって頭を下げるから。だから・・全てを受け入れて欲しいとは言わない。俺の全てを聞いてもらえますか？」

彼の視線がぶつかる。みたことない、強い何かが籠ってみえた。