キャニング・ウルフ -S.Hirano-

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「…平野さんも、そういうこと思うんですね」



「どういう意味だよ。男なんて胸派かお尻派かの2択だろ！稀に産毛とかって答えるヤツもいるけど。まぁ、そういうのは『ONE PIECE』と『名探偵コナン』は当たり前に好きだけど、『斉木楠雄のΨ難』も読みます的なそういうアレだろ！」




下世話なことを自信満々に語る平野さんだが、当たり前に言っていることはほとんど意味が分からない。まぁ、さきほど私の脳内で立てられた世にも奇妙な仮説が否定されたと考えれば一安心というところではあったけれど。




「なんか、良かったです。私てっきり平野さんは…いえ、止めておきます」


「何だよ、言いかけて止めると気になるだろ？『ガラスの仮面』の結末ぐらい気になる！」


「さっきから漫画の喩えわかりにくいんで止めてください」


「何でも良いから早く言え！」



平野さんにサングラス越しにまっすぐ見つめられ、言わざるを得ない状況になっているが、なかなかセンシティブな問題でもあるので口に出しづらい。



「…小さい子どもしか愛せないとか、そういう趣味かと思ってました」


「はぁ！？ロリコンってことか、俺が？」



せっかく明言しなかったのに、サラッと明確な単語を出してしまうあたりはやっぱり残念な人だと思う。いずれにせよ、今の驚き方から私の予想が見当はずれだったのは明らかになった。



「そこにあるベビーベッドとか、キッチンにあった子ども用の食器とか見てそうなのかと…」



「お前、ホンットに救いようのないアホだな。アレは俺の子どものヤツに決まってんだろ」



一瞬、平野さんの言っていることが理解できなくて固まってしまう。落ち着け、「アレ」は「ベビーベッドや子ども用の食器」で、「俺」は「平野さん」で、…ん？平野さんの「子ども」ってどういう意味ですか？

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