とある森の妄想族(短編集) (ページ9)

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ある休日、ともちゃんと買い物行く約束をしていた私はともちゃんのマンションの下に居た。
家出るね、っていう連絡はまだ既読付いてないけど準備してて見れていないだけだと思って気にしていなかった。

「あの、もしかしてAちゃん？」

私と目があったと思うとそう話しかけてきた綺麗なお姉さん。

『は、はい...えっと...』

人見知りの私はいきなりの事になかなか言葉が出ない。

「あ、ごめんごめん！ともの姉です。
　って...ともから聞いてない？」

とも、昨日の夜から熱で寝込んでんねん。

『え...聞いて、ないです』

「えー何してんねんあいつ～。とりあえずそんなとこ居てもなんやろ？おいで」

ともちゃんと同じ関西弁、だけどともちゃんよりもずっと...姉御肌？

『お、お姉さん！勝手に上がっていいんですか、ともちゃん怒るんじゃ...』

「ええやろ別に！というか、Aちゃんからも一言言ってやらな」

そう言って慣れたようにマンションに入っていくお姉さんについて行く。

知り合って暫く経ったけど、こうしてマンションの中に入るのは初めて。
ちょっとドキドキしちゃう。

「ともー入るよー」

ともちゃんの部屋に行くまで、妹ちゃん達がお買い物に東京に来る度にともちゃんの家に泊まることや、
お姉さんは東京に彼氏がいるらしく頻繁に来ることを教えてくれた。

今日もさ、ホントはデートだったんやけど心配過ぎてきちゃった。

そう笑ったお姉さんに胸がきゅっとなる。
言ってくれれば私が看病するのに...

「ちょっとリビングに居ってな」

そう言って寝室に向かったみたい。
ともちゃんのお部屋は凄く綺麗で、お洋服が沢山。

部屋の奥には洗濯物が干してあるのも見える。
ホントに此所でともちゃんは生活してるんだな。

「はっ！？！？今なんて言うた！？」

バタバタと音がしたかと思うとお姉さんの入った扉から姿を見せたのは

『と、も、ちゃ...?』

「A....」

だぼっとしたTシャツに、スウェット。
髪は短くてボサボサで、ちょっと髭がある。

『お、男の人だった、の？』

「....って」

『え、？』

「帰れ言うてんねん！」

荒げた声は聞いたことがないくらい低くて男の人で。

「とも、そんな言い方『ごめんなさいっ』

　「Aちゃん！」

怖い、怖い怖い
今まで見てきたともちゃんじゃない。
知らない人だった。

今まで私の隣にいたともちゃんは全部嘘？
面白がってたの？何で、何で...男の人なの

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