3 (神山side) ページ8
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神山side
昔から他の男よりも女っぽかった。
お洒落もネイルもメイクも好きで、姉ちゃんや妹達がキラキラするのが羨ましくて、たまに勝手に道具借りたこともあった。
でも、それがバレたときに父さんや兄貴からめちゃくちゃ怒られた。
何で怒られなあかんのか理解できひんかった。
男が綺麗になりたいって思ったらあかんの?
メイクってネイルってお洒落って、女の特権なの?
でも母さんは違った。
"親として、家族として、智洋のやりたいことをさせてやりたい。
そこに男とか女とか関係ないやろ"
離婚したのも、大切な長男と別居することになったのも俺のせいなのに。
"智洋、誰になんと言われようがあんたはあんたやからな。
ママは味方やで"
そう言って東京に一人暮らしすることを許してくれた。
家を出る日は泣きそうになってたけど。
女になりたいわけじゃない。
男がいやなわけじゃない。
ただ、好きなことをするのにこの格好でいるのが楽なだけ。
オネエとかオカマとか、そんなんちゃうねん。
心は男、好きになるのは女、でも見た目は女でいたい....こんな人間なんていうんやろか。
もしかして一生俺は女として生きるのかな。
『ともちゃん!』
なのに...Aにあって久々に男としての感情が動いた。
こいつほんま、俺の気も知らんでくっついてきよる。
まあ、女やと思ってるもんな。
『ともはさ、彼氏いたことあるの?』
ある日の朝突然言われたこと。
『絶対あるよ、可愛いし優しいし。私が男だったら絶対ともと付き合う!』
そんなに無邪気に笑うのやめてや。
いつもなら絶対こんなこと言わないのに。
「じゃあさ、もし男だったら?」
『え、ともが男だったら?』
うーんとわかりやすく考えて、"男の子は怖いから女の子でいてほしいな"なんて。
あーあ、こんなん失恋したも同然やんか。
ねえ、A気付いてる?
私が何で一人暮らしの家に呼ばないか。
何でAの家に、あれ以来行っていないか。
良く見てみて、君のいつも見てるともって男だよ。
明らかに筋肉質な腕、骨張った手。
それとも、触ってみる?女の子が持ってないもの、あるよ。
他のやつから伝えられるくらいなら、俺の口から言ってやろうかな。
そんなこと絶対出来ないくせに。
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作者名:あんまん | 作成日時:2020年10月25日 19時