とある森の妄想族(短編集) (ページ40)

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あれから数年
日本に戻ってきて一番最初に行くのはもちろんおじさんおばさんのお店。
懐かしい匂いと懐かしい騒がしさ。
(いらっしゃい！おう！4番個室空いてんで！)
新しいバイトさんについて個室の扉を開けると…

「おかえり」
扉の向こうには懐かしい温もり。
『智洋、さん...』
おじさんに帰ってくることを聞いたからサプライズ、と笑う顔をちゃんと見たいのに前が曇って
「何で泣くねん笑」
『だって、会いたかった...っ』
「俺も。でも、会いたいって思ったから頑張れたことやって沢山あったで。Aも頑張ってんねやろなって思ったら俺がここで挫けちゃあかんなって」
『私も、私もです。智洋さんにまた会った時、前よりもっと好きになって貰えるようにって。』

もう学生じゃないのにこんなに泣いて恥ずかしい気持ちとまた会えて嬉しい気持ちと。

「ほんで？アメリカで彼氏は出来たん？」
『...意地悪』
「ふは、ごめん笑じゃあまたアプローチしようかな」
『私もまたアプローチします』
今度は前みたいにすれ違わないように、言いたいこと言い合えるように。

『好きです、智洋さん』
「俺も好きやで、A」

4番個室
いつだってここは私達を繋ぐ場所

(とりあえず今日はこのまま家来るやろ？)
(え、？)
(え、ペットに会わんの？)
(あ、あぁペット...)
(何〜？やらしいこと考えてたん？)
(もう！ともひろさん意地悪になってる！！)

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「個室予約のお客様」これにて全編終了。
お付き合い頂きありがとうございました。

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