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初めての好き(赤) ページ41

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いつか、私のことを好きになってくれれば良かった。
その時が来るならいつまででも待てると思ってた。

でももう無理みたい。

しげには幼馴染がいて。小中高とずっと仲良いし家も近い。
しげのことはなんでも知っている幼馴染のことを、しげも特別に思っているのはわかっていた。
そんなしげと私は高校に入ってから知り合ったたった1年ちょっとの仲。
私が片思いして、私が告白して、フラれると思ったら、ぶっきらぼうな"ええよ"。
その言葉から始まったこの関係に私はもう限界。

なぁ、なんで"ええよ"なんて言うたん?私のこと好きやないくせに。

(大ちゃん!今日うち来るやろ?)
「あ、せやった。ごめんA、今日はコイツと帰るわ」
常に感じる劣等感。私なんかよりずっと可愛くてずっとお似合い。

『その前にちょっとええ?』
「ん?何や?」
ほんまはこんな教室で言いたなかってんけど、しゃあないな。
『別れよ』
「...は?」
『それだけやから。ほな、また明日な』
「ちょ、おい!」

走って学校を出た。方向真逆だしきっと追いかけてはこない。あーあ、気まずくなるなあ。

私より幼馴染と話している時の方が楽しそうやし、私の前ではぶっきらぼうやし、幼馴染やってしげのこと特別視してるし。お似合いやで、何で付き合ってないのかわからんくらい。




「っはぁ、待て」
『...っなんで追いかけてきたん?幼馴染は?』
「あいつはええねん別に。なんやさっきの」
『いや、そのまんまやけど』
「俺は嫌やで」
『何で?私のこと別に好きちゃうやん』
「はぁ?好きやなかったら付き合わへんわ!」
『でも...っ』
「俺、好きな奴の前ではカッコつけたくなって上手く話されへんねん。こんなことダサくて言いたないけど、お前勘違いしてるから」
『幼馴染が好きなんちゃうの?』
「んなわけ!アイツは俺の従兄弟に10年以上片思いしてんねんで!?」
『いやそんなん知らんけど...』
「あ"〜もう!俺は!お前のことが好きやねん!どうしたら伝わるん!?」

初めて聞いたしげからの"好き"。
それは想像よりもずっと乱暴だったけど、私には十分だった。
『...私が彼女でええの?』
「お前がええ言うとるやろ...」
さっきの勢いは何処へやら、お互いこっぱずかしくなってしまう。
『じゃ、じゃあ』
「おう」

背を向けて歩き出した途端一気に赤くなる頬に手を当てて必死に冷ます私の後ろで、私よりも熱くなって恥ずかしさを静かに噛み殺すしげには気付かないまま。

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作者名:あんまん | 作成日時:2020年10月25日 19時

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