死神の名付け親

涙 ページ38

＊*


あのあと、私はすごく泣いたみたいで、目ははれて頭はガンガンする。

鼻は詰まって、こめかみが痛い。


ごめん爽くん···。


私じゃ何にもできない。


無力過ぎて何も···


学校に行く気は、到底無く。


私はボサボサの髪のまま、また布団のなかに潜り込んだ。



⋅



⋅



⋅



⋅



⋅

｢⋅⋅⋅ ⋅⋅⋅子。真子。｣


とても安心する声が、耳の近くで聞こえる。


誰だっけ⋅⋅⋅


今、ものすごく会いたくて、会いたくなかった⋅⋅⋅。


重いまぶたを懸命に開ける。


少し暁の色に染まりつつある部屋。


どのくらい寝てたんだろう。


でも、最初より頭は痛くない。


目が変な感じするのは、枕に顔を押し付けて寝ていたからだろう。


｢あ、起きた。｣


ドクンと心臓が波打つ。


｢さ、爽くん⋅⋅⋅｣


嫌だ。また、爽くんの死ぬ瞬間が見えてしまう。


怖い⋅⋅⋅。


怖い。


自分でも驚くくらい、勢いよく目を逸らす。


｢真子。こっち向いて？｣


優しい声色。だけど、怖くて爽くんの方を向けない。


｢そっか⋅⋅⋅｣


何か諦めたような口調で話す爽くん。


嫌われちゃったのか⋅⋅⋅


仕方ない⋅⋅⋅よね⋅⋅⋅？


私が、全部悪いんだもん⋅⋅⋅


｢だから、真子が話したくなるまでこうしとく。｣


そう声が聞こえたと同時に、頭の後ろに大きい、安心できる手がまわり、


私の体はすっぽりと覆われた。


そして、なにより温かい⋅⋅⋅


｢ごめんなさい⋅⋅⋅｣


そう、呟くと、何か張りつめていた糸のようなものが切れたように、涙が溢れてきた。


その間、爽くんは静かに私を見守っていてくれた。

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