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シャンプーを終えて戻ってきた彼のリクエストは、
パーマは無しだけど、次回に備えてある程度の長さは残しておきたいとのものだった。
髪に鋏を入れる音が微かに響く中、
CDケースから取り出した歌詞カードをめくっていた彼が、ふと目線を寄越す。

「Aさんって、いつも洋楽ばっかり聞いてるの?」
「、、、え?」

鋏が止まる。

「いつも洋楽ばっかり聞いてるの?」
「、、ああ、うん。割とそうかな。」

答えが一瞬遅れた私を不思議そうに見たあと、
今度は質問を変えた。

「、、もしかして、名前で呼んだからびっくりしてるの?」
「え?、、うん、ちょっと。」

「そっか。2回目からずっと『藤原Aさんお願いします。』って
フルネームで予約の電話入れてるから、オレの中では当たり前だったんだけど。」
「そうなの?」

「うん。 ね、そうですよね?」
「はい。そうですね。」

斎藤君から同意を求められ、予約の電話を受けることの多いアシスタントのトモちゃんが頷く。
、、なんだ、そういうことか。

「だって、また間違いがあったら困るじゃん。」
「や、、、さすがにもう私が担当になってるから、それはないと思うけど。」
「はは、それもそうか。」
「そうだよ。」


「、、、Aさん、ちょっとドキっとしたりした?」

いたずらっぽく見上げた顔と、鏡越しに目が合う。

「ええ? しないよ〜、びっくりはしたけど。」
「、、ふうん、そっか。」

私の返事に頷き、また歌詞カードに集中しはじめた彼の髪に、鋏を入れ直す。

あまりに自然に名前を呼ばれてドキッとした気持ちは、ようやく落ち着いてきた。

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星宵(プロフ) - そらさん» はじめまして。嬉しい!ありがとうございます。本質は変わらないと思うけど、今みたいに責任ある立場ではない分、学生時代のギタボ氏は、より無邪気で感情に素直だといいなぁと思いながら書いてます。これからもよろしくお願いいたします。 (2020年10月24日 11時) (レス) id: 5d266fa98e (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - はじめまして。無邪気でかわいくて、すごく癒されてます(^^)ひっそり更新楽しみにしてます…無理なさらず(^^) (2020年10月21日 21時) (レス) id: 70b1605356 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:星宵 | 作成日時:2020年10月13日 12時

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