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「先輩、私、生のバンドって初めて観ました!」
「さっきの曲ってオリジナルですか?」
「すごくカッコよかったです!」
「もうライブはやらないんですか?」

下級生だろうか?
きらきらした笑顔で口々に話しかける制服姿のかわいい女の子達に、メンバー全員が笑顔で応じている。

先輩とか後輩とか。
文化祭とか。
制服とか。

斎藤くんを囲む色んな要素。
数年前には確かに自分の周りにも当たり前にあったそれが、社会人になった今の私には少し遠く、眩しかった。

誰かが何かを言うたびにドッと沸く、楽しげなその空気を壊さずに話しかけるワザなど、持ち合わせているわけもなく。
近づけないまま、彼女たちが去るタイミングを待ってみたけれど、時間の制約なんてない高校生のこと、一向に場が落ち着く気配はなかった。

そろそろ戻らないと昼休みが終わってしまう。
結局声をかけることを諦め、校門に向かいそっと後ろを通り過ぎる私の耳に届いた斎藤くんの明るい声。

「ライブハウスで観るライブもスゴイ楽しいよ、良かったら今度観に来てよ。」

その言葉に、また、わっと声が上がる。
きっと彼女たちは、この勢いのまま次のライブにも行ったりするのだろう。

演奏上手だったからね。
皆、カッコよかったもんね。
また観に行きたくなるよね。
良かったじゃん、ファン獲得だね。

、、、ダレデモサソウンダネ。

ライブをやるからには、動員は大切だ。
少しでも興味を持ってくれた人に声をかけるのは当然のこと。
裏切られたように感じる権利なんて私にはないのに。

最後に胸に浮かんだ言葉が小さな棘のように刺さって、さっきまでの楽しかった気持ちが急速に萎んで行くのを感じながら、学校を後にした。

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星宵(プロフ) - そらさん» はじめまして。嬉しい!ありがとうございます。本質は変わらないと思うけど、今みたいに責任ある立場ではない分、学生時代のギタボ氏は、より無邪気で感情に素直だといいなぁと思いながら書いてます。これからもよろしくお願いいたします。 (2020年10月24日 11時) (レス) id: 5d266fa98e (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - はじめまして。無邪気でかわいくて、すごく癒されてます(^^)ひっそり更新楽しみにしてます…無理なさらず(^^) (2020年10月21日 21時) (レス) id: 70b1605356 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:星宵 | 作成日時:2020年10月13日 12時

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