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次にやってきた毛ガニの甲羅焼きも、それはもう絶品だった。
甲羅の中に、ふんわりほぐしたカニの身とカニみそ、更にとろりとした餡。一人用のコンロで炙れば、部屋中に広がる芳ばしい香り。
熱々を頬張った瞬間、二人とも目を見張った。
「これ、最高ですね！私、焼きガニ派に変わっちゃいそうです」
「めちゃくちゃ美味しいね。俺もこんな旨いの初めて食べた」
「身がほぐしてあるから、食べ易いし」
「うん。カニ特有の無言にもなんない」
追加のビールで甲羅焼きを堪能した後、満を持してのカニしゃぶだ。出汁にくぐらせた身が花のように開いたところを、すかさずいただく。
刺身、甲羅焼きに劣らず、カニしゃぶも最高だった。
「そういえば、お正月『帰省中』ってあったけど、Aちゃん東京出身じゃないの？」
仲居さんが仕上げてくれた締めの雑炊を口に運びながら、斎藤さんが尋ねる。
さすがに食べるペースはゆっくりだ。
「はい。大学で東京に出てきたんです」
生まれ育った地方都市の名を伝える。
「そうなんだ。ライブで年に一回は行くよ。適度に都会だし、東京にも大阪にも日帰りできて、便利な所だよね」
「便利だから、ついつい帰省が先延ばしになっちゃって。最近はお正月くらいしか帰ってないです」
学生の頃は休みの度に帰っていたが、就職してからは、年三回が二回になり、今では正月くらいしか帰らない。
「もっと帰って来いって言われない？」
「最近言われなくなってきました。帰っても友達と出かけてばかりで家にいないから、もういいやって思ってるのかも」
「はは、そういうもんなのかな」
「でも帰省した晩は毎回ご馳走なので、楽しみにはしてくれてるみたいです」
「たまに帰ると、肉も魚もってメインが複数にならない？」
「なります、なります！で3日目くらいから平常メニューになる」
「そうそう。実家あるあるだよね」
斎藤さんのお家でも同じなんだ。私の好物をこれでもかと食卓に並べるお母さんを思い浮かべたら帰省したばかりなのに恋しくなった。
たっぷり時間をかけて雑炊を食べきり、デザートを待つ間、私は持参した紙袋を差し出した。
「これ、出張のお土産です。」
「ええ？ありがとう。何だろう？」
華奢な体型に似合わない大きく筋張った手で、今回も丁寧に受け取る
ギターを弾く人の手は硬かったりするのかな。
ふと湧いた疑問に、思わず手を見つめてしまう。
視線に気づいた斎藤さんが目を上げたので、慌てて何でもないですと首を振った。
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星宵(プロフ) - さばさん» はじめまして。嬉しい言葉をありがとうございます。決めていた所まで書くことができたので、ここからは少しゆっくりペースで、お付き合いが始まってからのあれこれを書きたいと思います。引き続きよろしくお願いします。 (2020年7月26日 7時) (
レス) id: 5c7677ac35 (このIDを非表示/違反報告)
さば(プロフ) - はじめまして！いつも更新楽しみにしており、完結してしまうのは少し寂しいです、、、短編のお話楽しみにしてます！！ (2020年7月25日 18時) (レス) id: 640aa79d81 (このIDを非表示/違反報告)
星宵(プロフ) - みもりさん» ありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです。そろそろ終盤なので、このままの勢いで進めて行きたいと思います。 (2020年7月16日 9時) (レス) id: 9647d822be (このIDを非表示/違反報告)
みもり - 更新ありがとうございます！！！今回も面白かったです！！！ (2020年7月15日 21時) (レス) id: 1232f9590f (このIDを非表示/違反報告)
星宵(プロフ) - みちさん» はじめまして。更新が滞り返信も遅くなってしまい、失礼しました。良かったらまた読んでやってください。 (2020年7月6日 23時) (レス) id: 5c7677ac35 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星宵 | 作成日時：2019年6月11日 22時
