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「お待たせしました」
「……渡辺」
「はい、なんでしょう」
「貴方……私が紅茶を飲めないと分かっていて出したのかしら？」
「あれ、そうだったんですか？！いやぁ、てっきりお嬢様ならもう克服されたのかと……申し訳ございません。お嬢様の舌がまだお子ちゃまであることを失念しておりました」
「アンタ殺すわよ」
こんなことを言っておきながらも、素直に飲まないのは癪なのか、Aは恐る恐る紅茶の入ったカップをソーサーと共に持ち上げる。
まずは匂いから。
縁に鼻先を近づけてすんすんと鼻を動かすと、途端にAの顔が歪んだ。
「……渡辺。あんたアールグレイ淹れたわね」
「前にお好きだとおっしゃっていたので」
「嫌いだと言った覚えしか無いのだけれど？貴方は鳥なのかしら？」
どんな貶し文句も笑顔で受け流していると、とうとう意を決したAが、ゆっくりとカップに口をつける。
そして一口喉に流し込むと、吐き出すなんて下品な真似はしないが、明らかに【 不味い 】と言いたげな顔でカップを置いていた。
やっぱりいくら高校生になっても紅茶は飲めないのか。
まぁ俺は飲めるけどね！！！！！
「どう？美味しい？美味しい？」
「煽っているなら叩きのめすわよ」
伊沢さんとAが一番長く一緒に居ることは知っている。
だからか、彼女も伊沢さんと一緒で、かなりの負けず嫌い。
素直に飲めないって言えば良いのに、白旗と同義のそれを紡ぎたくはないのか、彼女は嫌いな紅茶をまだ飲もうとしていた。
流石の俺でも、これ以上Aに顔をしかめさせたいとは思えない。
日頃の恨みは結構返せたし、向こうが素直になれない分、こっちが動いてあげよう。
「A、貸して」
「あ、ちょ」
プライドと本心の狭間で葛藤している彼女の手からカップを奪い、ほとんど減っていない紅茶を飲み干す。
瞬間、鼻を抜けていく独特な風味と、紅茶の苦味が口一杯に広がった。
うん、たまには紅茶も悪くない。
まぁでも、俺もお嬢様と同じで、紅茶よりオレンジジュース派だけどね。
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白菜(プロフ) - あるてぃめっとさん» コメントありがとうございます！この作品のcssは自作ですね。フォントは『ほのか丸ゴシック』を使用させて頂いてます。参考にしていただければ幸いです！ (2021年3月30日 17時) (
レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
あるてぃめっと - こちらの作品でははじめまして（といっても覚えてないと思いますが…）今回も素敵な文章をありがとうございます。それともう1つ素敵なcssだなと思い…自作でしょうか？紹介がないので…もしよろしければ、使っているフォントを教えていただけないでしょうか？ (2021年3月30日 16時) (レス) id: 037db07d8a (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - Rukaさん» 私も書きながら「この関係性が尊いと思える感じにしたい」と思ってるので、そう言っていただけると嬉しいです！お嬢があんな子だからきっとこんな関係性が出来たんでしょうね。これからも彼らをほほえましい気持ちで見ていただけたら嬉しいです(笑) (2021年3月29日 22時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - SALTさん» コメントありがとうございます！普段は文章詰め詰め野郎なので、今回の話は確かに読みやすいかもしれません(笑)応援ありがとうございます！ほんとにマイペースですが、これからもちょこちょこ更新していけれたらなと思います！ (2021年3月29日 22時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
Ruka(プロフ) - なんというか、お互い憎まれ口を叩きながらもお互いに好いているような関係が本当に好きです。お嬢はいつもこんなに暖かい空間にいるんだと思うと、なんだか微笑ましくなってしまいました笑 (2021年3月29日 16時) (レス) id: 323f90024b (このIDを非表示/違反報告)
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