- HL 's angel - 3【血界戦線】

百五話 ページ8

-main side-


どうしてこうなったんだろ、



こんなはずじゃなかったのにな。




夢も見なくなったし、

唄も歌わなくなったし、

"マライカ"もあの事件以来全くやってない。









「‥あやまら、なきゃ‥私が悪いんだもの」








ふと部屋の鏡と目があった。
白い髪、金色の瞳、腫れぼったい頬、

俗に言う"ぶさいく"というやつだ。







「あれ、もうこんなに暗くなってたんだ」









窓の外はじっとりと紺と黒が入り交じっていた。

皆は仕事を終えたのかな。

もう少ししたら、一緒に仕事できるかな。







「‥よし、だいじょぶ」









一つ息を吐いて、私はメインルームに足を進めた。




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「‥みんな、いるかな」




中に入ると、人のいた気配が残っているものの、その人の姿はなかった。




「さすがに帰ったよね、ツェッドだって寝てるだろうし」








時刻は21:56。
正式なブラック企業ではないために、皆はそれぞれの場所にいるのだろう。

いや、ある意味ではブラックかな。








"彼"の机に目を向けた。
電源のついているPC、広げられた書類、側に重ねられたファイル。


「‥仮眠室‥か、御手洗い」









気づけば私はメインルームから踵を返していた。









"彼"に伝えるために。

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