剣に焦がれて人を好く ニ 終 ページ49
『私の剣は、師匠の剣です。何かを守るために輝き、何かを守るために強くなるーー無敵の剣なんです』
『いつまでも強くなる。止まることを知らない、強さを求めて自らに鉄を穿つ、最強の剣士……そんな剣士と、闘ってみませんか』
刀を向けられて目を見開くが口元を綻ばせた。
『フッ……上等だ』
抜刀し構えて、ひりついた空気に足を一歩前に出す。
ガキンと甲高い音が鳴り響いた。
刀がかち合い押し返される力に奥歯を噛み締めて対抗する。
何度も打ち合うが俺の攻撃はいなされ、逆にAには踏み込まれて服や頬を切られる。
『くッ!!』
一撃で伸され、地面に倒れて首に刃を当てられてしまった。
『まだだ!』
足でAを蹴り離し刀を持ち直す。
蹴り飛ばされ体勢を立て直している途中のAの背後に回って大きく刀を振るった
その一撃をかわされ、足払いをされて上から一太刀襲いくる
押し合いが続き、時には押し負け、時にはギリギリで押し勝ち、何度も繰り返した。
『はあ、はあ……』
『っはあ、はあ。やっぱり、すごい直感ですね』
しばらくして二人とも道場の床に倒れ、汗まみれで荒い息を整える。
『お前こそ、守備力バケモンかよ。一本も取れなかったぞ』
『ふふっ、でも土方さんの攻撃、どんどん強くなってましたよ』
彼女の言葉にフッと笑う。
『お前の剣は、護って継承したくなるな』
『!そう言ってもらえて、すっごく嬉しいです』
Aは松陽を思い返し、泣かないようスッと息を吸い込んで笑った。
潤んだ目に柔らかな口元と温かい笑み。
土方はそんな彼女を見て目を見開き固まってしまった。
視線を外して天井に目を向け、目元を手で覆う
『土方さん?』
『……なんでもねェ』
『なんか、顔赤くないですか?』
『ちょっと運動して暑くなっただけだ』
『そう、ですか』
手の隙間から不思議そうにするAを覗く。
(護りてェモンが増えちまったな……)
『なあA』
『なんですか?』
『ここの奴らは全員バカだが、全員が泥臭い意地をもってやがる。勝手に無茶する奴らも多い。近藤さんなんか人が良すぎて心配になるくれェだ。だから』
『その剣で、俺たちを護ってくれ』
鬼の副長からそんな頼み事をされるなど異例だろう。
Aは驚き、口元を緩めた。
『もちろん。命懸けで護りますよ』
『頼んだ』
(コイツを護れるように、コイツのそばで強くなる)
土方は確固たる意思を持って胸に誓った。
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刹那*桜(プロフ) - あいさん» ありがとうございます!! (2022年12月27日 20時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 初コメ失礼します!! めっちゃ面白いです!! これからも頑張ってください! (2022年12月26日 19時) (レス) id: 4bcda9126d (このIDを非表示/違反報告)
刹那*桜(プロフ) - あたりんさん» ありがとうございます!! (2022年11月20日 0時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
あたりん(プロフ) - 更新楽しみにしてます!! (2022年11月14日 16時) (レス) id: c0f0373936 (このIDを非表示/違反報告)
刹那*桜(プロフ) - 花香さん» コメントありがとうございます!9個もあって長いですなか一気に読んでいただきありがとうございます!!わりと読みづらい所もあるかと思いますが好みと言ってもらえてとても嬉しいです!!(;ω;) (2022年11月7日 23時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2022年11月7日 0時