【銀魂】シスコンな兄の尻拭い９ 【柳生篇】

好きな人に集る男を嫌いになるのは人の性　一 ページ42

「沖田さん、戦さんまで……」
「なんてこった、あの総悟が……」

　新八と近藤は、襖に背をもたれて気絶している西野と沖田、戦に驚く。

「酷い……完全に足が折られてる」
「相打ち……いや、足が折られてからこの男を倒したとは考えにくい」
「……」

　新八と近藤が沖田達の状況に苦い声を漏らした。
　Aは戦がやられているのを見て顎に手を当てる。

(まさかお兄ちゃんまでやられるなんて……敏木斎さんとハチあったのか。いや、でも西野さんもやられてるし……)

　既に神楽はここにはいず、誰もこの状況になった理由は分からない。
　近藤は沖田の体を腕で支え、怒りの声を上げた。

「許せねェ……絶対許せねェェェ！！ここまでやる必要あんのかよォ！！皿割ったら終わりじゃねーのかよ！人をいたぶんのを楽しんでるようにしか見えねェ！」
(そこなんだよな……柳生側にはそんな人はいない気がするんだけど。南戸さんは……でも沖田君とお兄ちゃん相手だしな)

　近藤の言ったことにAも胸中で共感していた。
　しかしそれが違和感を覚えて、この状況を不思議に思っている。

「！」

　新八は部屋に西野の携帯が落ちているのを見つけて手に取った。

(もしかしたら沖田さん達をやった奴が証拠を残して)

　フォルダの中にある写真を見て新八は言葉を失った。

　神楽が気絶した西野と沖田、戦を踏みつけて笑顔で自撮りしている写真が出てきたからである。

「総悟ォ！お前の仇は絶対俺が取ってやる！なっ、Aさん！新八君！」
「チキショー！！沖田さんやったの誰だコルァァ！！皆目検討つかねーよ！！見つけたらマジぶっ殺してやんよ！！」

　新八は焦って顔に大量に汗を浮かべて勢いよく叫んだ。

「絶対に見つけてぶっ殺してやんぜ！つーかどうしたその汗！？」
「な、なんか暑いなァおい！もっとクーラー効かせろコルァァ！！」

　新八は苦し紛れに誤魔化し、Aが不思議そうにしながら口を開く。

「……まあ確かにここまでする人には、それなりにやり返してやりたいけど。新八君、何か変な感じしない？この状況ちょっと違和感が」
「違和感出るほど残酷なやり方ですねェェ！！絶対倍返しにしてやりましょう！！ボッコボコだコルァァ！！」
「えあ、うん」

　Aの言葉に冷や汗を流し新八が声と勢いで彼女の意見を粉砕した。

「どこ行ったァ！沖田さん達の仇は俺が打つ！！」
「あ、ちょ新八君」

　新八が先に走っていきA達が慌てて追いかけた。

好きな人に集る男を嫌いになるのは人の性　二→←チンパンジーは馬鹿だが器用だから油断はするな　七　終

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