姉離れも妹離れもしてやるものか 六 ページ18
「柳生家といやァ、かつては将軍家の指南をおおせつかっていた程の名家」
天人が来てから剣術は零落する一方だったが、柳生の華麗なる技を学ぶために未だ門を叩く者も多いらしい。
次期当主の柳生九兵衛は小柄で子供みたいな見た目だが、神速の使い手で「柳生家始まって以来の天才」と呼ばれてる。
「俺ァしょせん坊ちゃんが習う道場剣法、実戦じゃ俺の方が上だと思ってましたがね。どうにも俺たちの田舎剣法じゃ、シティー剣法には敵わねーらしい」
若干おちょくりの入った沖田の発言に土方はイライラしていた。
「まァ……どんな泥臭い戦法も綺麗な伝統も、相手がAさんならどうなるか分かりませんけど」
沖田はボソッと、小さく呟いた。
「剣も色恋も……幼馴染の許嫁ときちゃあ近藤さんの出る幕はねーや」
「総悟、近藤さんナメんなよ。近藤さん見事あの皇女口説き落としたんだぞ。やればできるんだよあの人は」
「ゲッ、マジかよ。ホントにやったのかよアイツ」
戦が嫌そうな顔をして、沖田は少し言葉がなくなる。
「……するってーとなんですか。このままいったらあのゴリラが俺達の姐さん」
沖田は少し複雑そうな顔で呟いた。
雨の中、傘を被った男が二人、長い石階段の前で揃っていた。
「新八、今日も来ないネ」
万事屋の居間で神楽と銀時はオセロをしていた。
「パシリのくせに無断欠勤たァ、クビにしてやろーか」
あれから新八は万事屋に顔を見せなくなり、お妙は花嫁修行でしばらく帰れなくなっているとか。
「アネゴなんか隠してるネ。間違いないアル」
神楽の言葉を流して、銀時は「きゅーけい」と頭をかいて社長机の椅子に座りに行く。
「なに考えてんのか分かんねーけどよ。あの女、自分で選んでいったんだろ。だったら笑っていられるだろ、あの女なら」
銀時は頭の後ろで手を組んで椅子の背もたれにもたれかかる。
しかしその脳内に浮かぶのは、別れを口にした時のお妙の泣き顔だった。
「チッ、嫌なもん見ちまったぜ……」
銀時がぼやいていると、玄関の戸が開く音がして彼は椅子を回転させて玄関の方を見る。
居間に入ってきたのは、しばらく顔を見せなかったAだった。
神楽は目を見開き、すぐさま彼女に抱きつく。
「A!!ずっと帰ってこなかったから心配してたアル!!」
「ごめんごめん、ちょっと剣術が鈍ってないかしばらく鍛錬に集中したくて」
Aは心配させてしまって申し訳なさそうにしていた。
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刹那*桜(プロフ) - あいさん» ありがとうございます!! (2022年12月27日 20時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 初コメ失礼します!! めっちゃ面白いです!! これからも頑張ってください! (2022年12月26日 19時) (レス) id: 4bcda9126d (このIDを非表示/違反報告)
刹那*桜(プロフ) - あたりんさん» ありがとうございます!! (2022年11月20日 0時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
あたりん(プロフ) - 更新楽しみにしてます!! (2022年11月14日 16時) (レス) id: c0f0373936 (このIDを非表示/違反報告)
刹那*桜(プロフ) - 花香さん» コメントありがとうございます!9個もあって長いですなか一気に読んでいただきありがとうございます!!わりと読みづらい所もあるかと思いますが好みと言ってもらえてとても嬉しいです!!(;ω;) (2022年11月7日 23時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2022年11月7日 0時