優しい灯火でも強火すぎると恐怖を与える 四 ページ38
「あのお嬢ちゃんはえいりあんの攻撃を片手で受け止めて一撃で伸した。そんで、受け止めた時の傷がすぐに修復していきやがった。アレは……星人でも異常だ」
だから、と星海坊主は番傘を構える。
「あの嬢ちゃんは、始末の対象だ」
「……パピーの考えは分かったネ。でもその拳をAに向けるなら――殺される覚悟はしておけヨ。ハゲ」
神楽は足を開いて拳を構え、父親を殺気のある目で睨みつけた。
「例え優しかろうがありゃァ、夜兎以上のバケモノだ」
神楽はバケモノという言葉に青筋を浮かべ、奥歯を噛んで拳を握る。
――夜兎は野蛮な民族じゃない。
初めて会ったあの日のAを思い出す。
「なんで……」
神楽は悔しそうに言葉を小さくもらした。
「Aのこと何も知らないくせに……偉そうにしてんじゃないアルこのハゲェェ!!」
前に踏み込んで一気に距離を縮める。踏み抜いた地面はヒビが入って大きく割裂した。
「!」
彼女は至近距離から番傘で星海坊主の横顔を殴ろうとする。
彼はとっさに避けて神楽の横腹を蹴り飛ばし反撃した。
「かはッ!」
神楽は乾いた声を出して吹っ飛び、慌てて体勢を戻して地面に滑り込んだ
「ったく……神楽ちゃんにそんな懐いてもらえてお父さん羨まし過ぎるわ」
星海坊主は星人のことに関しては言っても変えられないと思っていたのか溜め息をついて頭を掻く。
「仕方ねェ、力づくでも連れて帰るぜ」
「!ぶっ!」
星海坊主はいつの間にか神楽の背後を取り、番傘で頬を殴って強く吹き飛ばした。
吹き飛ばされて神楽は先ほどと同じように勢いを流すだけ流して体勢を立て直そうとする。
しかし
「!!」
吹き飛んだ方向に女性と小さな女の子がいた。
――あぶな
衝突の危機を察知するが、飛ばされる勢いを神楽はどこにも逃がせない。
ぶつかると思われたその時
親子の目の前で銀時が神楽を受け止めた。
「銀ちゃん!!」
「ったく何やってんだてめーら」
銀時は呆れながら神楽を下ろす。
後ろで女の子が、怖かったのか母親に泣きついていた。
安心したのも束の間、星海坊主が神楽に向かって殴りかかってきた。
「ッ!」
銀時は木刀に振れ抜刀しようとする。
しかし、その目前で星海坊主の拳が受け止められた。
『!!』
パァンと大きな音が響いて、衝突の豪風が銀時たちの周りの空気を押し上げる。
星海坊主は目の前で自分の拳を掴む人物――Aを見て目を見開いた。
優しい灯火でも強火すぎると恐怖を与える 五 終→←優しい灯火でも強火すぎると恐怖を与える 三
115人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
刹那*桜(プロフ) - noche/ノーチェさん» ありがとうございます!! そう言っていただけでめちゃくちゃ嬉しいです! これからも頑張っていきます(⸝ᵕᴗᵕ⸝⸝) (2022年9月13日 21時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
noche/ノーチェ(プロフ) - 続編おめでとうございます!ずっと前にお気に入り等々は済ましていたのですがコメントは初めてさせていただきます。いつもこの作品を見るために占ツクを開いているくらいとてもこの作品が好きです。これからも愛読させて頂きます!これからも頑張ってください! (2022年9月13日 20時) (レス) id: 958fbd2e0b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:刹那*桜 | 作成日時:2022年9月13日 20時