ヒトを護る為の力 四 ページ46
星海坊主は船内でえいりあんを殴りながら神楽を探していた。
ハタ皇子とじいを見つけ、神楽をみたか尋ねるとハタ皇子が「あっち」と指差した。
指した先には、神楽が床に倒れていて。
星海坊主は目を見開いて急いで彼女の所に駆け寄る。
「神楽ァァ!!オイッ、しっかりしろ!かぐ……」
神楽を抱き起こせば口に血が伝い、左腹から大量に血が出ていた。
星海坊主はうつむいて口を開く。
「……か」
「え?」
「てめーら黙って見てたのか。助けてもらっておいて、俺の娘が弱っていくの……黙って見てたのかって聞いてんだよ」
星海坊主は後ろに視線を向けてハタ皇子達を睨みつけた。
「ままま、待って!だってこんな状況じゃ医者呼ぶにも……のう、じい?」
「ワシに振るなァ!知らん!ワシは知らんよ!今日からボケたから!」
「てんめ……」
星海坊主はこの後に至ってまだふざける二人にキレて立ち上がり、番傘で攻撃しようとする。
しかし、下から何かの力に引かれて番傘が動かせなくなった。
「!!」
そちらを見れば、神楽が星海坊主の傘を掴んでいた。
「パピー、ダメよ。せっかく私、助けたのに」
「神楽!」
神楽は息を切らしながら力なく目を開けていた。
星海坊主は彼女を抱き上げる。
「も……もう、もう大丈夫だ。父ちゃんが助けてやるから。もう安心しろ!」
「パピー。わ……私、変わったでしょ? 私の力、人を傷つけるだけじゃないヨ。人を護ることもできるようになったヨ」
「も……もういい。喋るな!」
神楽は息が荒いながらも言葉を続ける。
「そういうふうにしたらネ、いっぱい友達できたヨ。もう誰も恐がったりしないアル。もう一人じゃないネ」
神楽は昔の独りだった頃を思い返した。
「戦って戦って夜兎、滅びたネ。一人ぼっちになったネ。パピーも兄ちゃんも、みんな……」
「戦わなきゃいけないのは自分自身アル。このままじゃ皆ひとりぼっちになってしまうヨ……それは夜兎じゃない、星人のAも……」
「……」
「おいィィィ!危ない!!上!上!!」
ハタ皇子が慌てて上を指して叫ぶ。
上から、星海坊主たちに向かってえいりあんが食いつこうとした。
星海坊主はとっさに神楽を守るように抱く。
しかし左腕がえいりあんに食われ、衝撃で後ろに飛ばされて神楽と離れてしまった。
「ぐうう……」
「パ……パピー……」
星海坊主は顔をしかめて左肩を押さえる。
神楽は倒れたまま父の方へ行こうとしていた。
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刹那*桜(プロフ) - noche/ノーチェさん» ありがとうございます!! そう言っていただけでめちゃくちゃ嬉しいです! これからも頑張っていきます(⸝ᵕᴗᵕ⸝⸝) (2022年9月13日 21時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
noche/ノーチェ(プロフ) - 続編おめでとうございます!ずっと前にお気に入り等々は済ましていたのですがコメントは初めてさせていただきます。いつもこの作品を見るために占ツクを開いているくらいとてもこの作品が好きです。これからも愛読させて頂きます!これからも頑張ってください! (2022年9月13日 20時) (レス) id: 958fbd2e0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2022年9月13日 20時